バーチャル試着サービスの普及状況

IT

試着などしないで購入できればいいのですが、お恥ずかしながら実際に着てみないと、購入できないタイプです。

洋服だけ見るとこれ良さそうだな…と思っても、身に着けて鏡の前に立つとなんとなくサイズ感などが思っていたのと違っているということが多いのです。

とはいえ、店員さんに試着のお願いをして、試着室でタグ付きのお洋服をとっかえひっかえするのは、汚れてはいけないので気を遣うし、体力と時間の消費がすごいので、余裕のある時しかできないという悩みがあります。

バーチャルで試着できたらどんなにいいでしょうか?

VRやAI技術が発達してきた昨今、バーチャル試着の最前線(?)に迫ります。

各種サービスの特色

ワンピースのオーダーメイドサービス:ビスコテックス・メーク・ユア・ブランド

サイトはこちらです。動画での説明もありますが、実店舗で受けられるサービスです。なるほど…ちょと顔ハメに似ています。

ワンピースに特化させているので、顔ハメであってもそこまで違和感がないのだと思います。

また、オーダーするワンピースの形や生地を決めるという点では、何もない状態でオーダーするよりもかなり精度の高いオーダーになりそうです。

AI技術を用いた任意画像を用いた試着サービス:「kitemiru(キテミル)」

AIベンチャーの株式会社データグリッドが開発した「kitemiru(キテミル)」は結構面白い技術で、今後の発展が期待されます。

実際に現在、試験的に子供服のF・O・インターナショナルやオンワードグループ公式EC「オンワード・クローゼット」の婦人服に導入されています。

オンワードのHP『夏の360度美人見え「ワンピース&トップス」』に実際に行って、私もやってみました。



あらかじめ自分の全身写真を撮っておいて、商品を選んで試着ボタンを押すと、数秒でAIが自分の写真にフィッティングさせてくれます。

本来はスマートフォンなどを持たずにまっすぐ手を下して撮影する必要があるので、手の位置がおかしくなっていますが、私の選んだ赤いトップスはモデルさんが横を向いているのに、結構きちんとフィッティングが出来ています。
(自前のブラウンのトップスが少し裾から見えていますが、これも写真を撮影するときに、スカートにきちんとインした方が良かったですね。)

失礼ながら、メーク・ユア・ブランドよりは高い技術であることが分かります。

全身撮影
アイテム選択
アプリで着せ替え
試着後

また、データグリッド自身がブランドを対象としたβ版アプリのプロモーションとして試着サイトを作っているので、そちらにも行ってみました。

ここでは、先ほどの例のように、例えばスカートに合うトップスを探している場合、そのスカートを履いた全身写真を撮影しておいて、任意のネット商品ページのモデル画像のスクショをアップロードするとAIが試着イメージを自動で作成してくれます。

適当にネットから画像を拾ってきて実際にやってみたのですが、オンワードの例と同じような感じで試着することができていました。

いずれも画像レベルでのサイズ合わせはしますが、実際のサイズや丈を正確に反映したものではないため、あくまでも「雰囲気を確認する」という程度にはなりますが、面白い試みだと思いました。

個人用アプリではないのが残念ですが、おそらく、販売戦略として色々考慮した末にB to B(Business to Business:企業間取引)を選択したのではないかと考えます。

つまり単価競争の激しい個人向けアプリビジネスにするには、アプリとしての使い勝手などあらゆるユーザーに向けた細かい改善がまだまだ必要であり、手間がかかる割に大きな売上が見込めないことなどが要因として考えられるのではないかと思います。

とにかく精度の高さを求めた試着サービス:ゾゾネクスト

これは、ソフトバンク(要素技術)、ZOZO NEXT(アプリ開発)、MNインターファッション(プラットフォーム提供)が協力した試着サービスです。

ユーザーが「ALTRM(オルターム)」にログインし、身長と体重を入力すると、3Dバーチャルアバターが作成され、商品を選んで試着すると、そのアバターがフィッティングし、実際に試着した時と同様に着丈やサイズ感を確認することが可能です。

2022年2月から1カ月間、20歳以上の男性400人に向けて実証試験をしたところ、試着後の購入率が「若干良かった」とのことでした。

ZOZO NEXT より抜粋

ZOZOスーツの開発もそうですが、メンズファッション市場をもっと開拓したいという強い思いがあるのを感じます。

スーツなど特に体型へのフィット感が重要視されるビジネスウェアは、店舗での試着が必須ですが、確かに私も、面倒な試着などを厭う多忙なビジネスマンが、自宅にいながら体型にフィットしたアイテムを購入できるようにすることは、ビジネスチャンスを広げるキーとなるのではないかと思います。

そう思うと、この技術は寸法という点で精度が高く極めて機能的で、目的に合致しています。

一方、ファッション性というか、ユーザー自身の外観とか雰囲気とのマッチングなどは考慮されておらず、先ほどの「kitemiru(キテミル)」とはビジネスの方向性が全く異なっており、棲み分けができているといえます。

課題としては測定の制度が高いがゆえに、3Dデータ容量が大きくなり、通信や処理、表示での負荷が大きい点だそうです。

バーチャル試着技術の黎明期? 成長分野として期待大

このサービスの最終形は、ユーザー自身の精密な3Dアバターが、ブランドを超えてあらゆる洋服や小物を簡単に試着できるようになり、そのまま購入行動へとスムーズに移行できるようになることでしょうか。

上記の技術は一長一短ありますが、それでも以前に比べればかなり技術の向上が認められます。

インフラ(通信技術)の向上もこれらの開発を後押ししています。

おそらく10年以内には、この最終形までたどり着くことが可能であると考えられ、これらはSDGsにもある程度親和性があるのではないかと思われます。