AnotherADdressも3回目になりました。
前回は、Missoniのボヘミアンニットスカートを履いてみて、圧倒的なサイズ感の違いに四苦八苦しました。
そんなわけで(つまり丈が長すぎて)、数回試着して堪能したのみで外には一回も着ていきませんでしたが、ブランド設立初期から受け継がれる伝統的な手法の洋服に触れられたことでとても満足しました。
今回も迷いましたが、私がこのサービスで選ぶ観点は
「たぶん一生自分で購入することはないだろうという珍しい服」
ということで、これを選びました。
MM6 Maison Margiela(エムエム6 メゾン マルジェラ)のスリーブデザインシャツ
ノースリーブなのですが、袖が4本くっついてます! めちゃめちゃ面白いですよね。
Maison MargielaとMM6とは
以前のファッション用語について書いた記事で、このMaison Margiela(メゾンマルジェラ)を少し調べたのですが、1998年、Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)がフランスのパリで設立したブランドです。
このブランドでは、職人技かつ芸術的なラインナップと既製服のラインナップを両方手掛けており、既製服のコレクションには、製品のカテゴリごとに0から23のナンバリングを付け、そのうちの6番が女性のための衣服として、1997年独立したブランド「MM6」になりました。
Martin Margielaさんは当初から前衛的なデザイナーで、自らのデザインだけでなく、ファッション業界のしきたりや潮流などあらゆるところでそのルールに囚われない主義を貫いていることで有名です。
こちらの記事などで非常に詳しく説明されていますが、彼のデザインする服は縫い目がそのまま見えていたり、すごく大きいサイズであったり、端切れを使ったアップサイクルであったりするものが多く、そのデザインをより鮮明に引き立てるためにわざとモデルの顔を隠したりと、なんだか禅問答のような問いかけをされているような気分になりますが、そんな癖の強い服を作っています。


また、超有名であるにも関わらず、メディアには一切顔をださなかったり、自らの店舗に看板を一切出していなかったり、ブランドを示すタグを四隅だけ簡単に縫い付けることで外せるようしてネームバリューではなく、服自身の価値を評価してもらうことを望んだりと、服と同様に癖のある人物です。
しかし20世紀、このような既成の考え方を一旦解体し、新しい概念として再構築する「脱構築主義(deconstruction)」という新しい概念が社会的に提唱され、Maison Margielaはファッションの分野においてこれを体現したブランドだといえます。
蘊蓄はここまで。この不思議なシャツを見てみましょう
大概、コレクションでは変な(失礼)服を作るデザイナーも、一般の人が買う製品ではそこまで変な服はあまりないのですが、このMaison Margielaは一般の人が買うシャツにさえ、袖を何本もつけてくるようなブランドです。
正直、好奇心とともに、もしかして着こなせない可能性が高いぞ…。
と思って戦々恐々としておりました。
やっぱり変なシャツだった

袖はあくまでも飾りでついていました。写真をとっていたら、このキャラクター(kingcong MUSHI)を思い出しました。
そして、ドットだと思っていたのは 小さな文字でした(6なのか9なのか、はたまたgなのかよくわかりませんが、たぶんMM6の6なのだと思います)
袖の始末は8通り

最初の写真でそのまま袖をぶら下げて着ているバージョンと、軽く結んでいるバージョンのコーディネートを見ていたので、大体のイメージはできていました。
しかし、実際に届いてみると、だらりと袖がぶら下がったままでは、ちょっと心もとないので、結ぶことにしました。
4本の袖を組み合わせると何通りでしょうか?
違和感のない組み合わせとしては8通りが考えられますが、実際にできるのか….?
やってみたら案外良かった。

結構、肩幅が広く、キリっとシャープなので、私にしては珍しくボタンは上まで止めた方がコンパクトに見えました。
そして結び方は8種類行けますが、肩についている袖は、左右対称ではなく、それぞれ微妙に位置が異なっていることから、単に組み合わせだけでなく、結び目を作る位置や結び目の形などを体型や雰囲気によって変えることで色々違った表情で着ることができ、とても面白いシャツでした。
まとめ(Margiela氏からのお題に応える服)

着こなしが沢山用意されているということは、どれをどう使うのか考えなくてはならないわけで、結構試行錯誤しながら結び目を調整したりを何度も繰り返したりして、このブログを書く前までに正直結構グロッキーになりました。
ただ、いつも漫然とTシャツを頭からかぶって、いつもの作業ズボンを履く毎日、服を着るという行為自体に頭を使うことがほとんどなかっただけに、Margiela氏から服の見た目や価値に支配されず、自ら考えて使いこなしてみろと言われたような気がしました。
これ…..7万円もするんですが(!)、これは本当に気に入ったら、ちゃんと買って、時間をかけて色々似合う着こなしを考えながら着倒してみるというのも面白そうだとも思いました。