23~24年秋冬トレンドワード「マスキュリン&フェミニン」を読み解く

装いの法則

こちらの記事で、ご説明できなかったトレンドワードに、「マスキュリン&フェミニン」があります。FPSSの顔パーツ診断でも、外観要素として、女性っぽさと男性っぽさをそれぞれフェミニン、マスキュリンという言葉で表し、これらの要素のレベルに応じて、似合いやすいファッションアイテムのディティールを定義しています。

おそらくほとんどの方がこの2つの要素を併せ持っているのですが、23~24年秋冬コレクションでは、それをあえてミックスさせたデザインがトレンドとなっているようです。

今回は言葉の深掘りというよりも、「マスキュリン&フェミニン」をどのように具現化しているのかについて調べてみたいと思います。

マスキュリン&フェミニンをデザインで表現する

マスキュリンをベースにフェミニンさを加えたミックススタイル

ジャケットやパンツといった、しっかり仕立てられた感のあるスタイルのことをテーラードスタイルと呼ぶそうです。

通常これらのアイテムはフォーマルな要素が高いものが多いのですが、今年はそれらのアイテムをベースとしつつも、女性らしさを盛り込むことで、リラックス感や軽やかさを加えるというようなものが多い印象があります。

具体的には、マスキュリン要素を支えるデザイン・素材は、例えばテーラードジャケット、ワイドパンツ、レザーアイテム、デニム、オーバーサイズがそれに相当します。

一方、フェミニン要素を支えるデザイン・素材は、去年ぐらいからちらほら見かける「肌見せ」「透け感、シアー、レース」に「起毛」、クロップト丈、ウエストシェイプなどが相当します。

これらを掛け合わせるとこんな感じです(画像はすべてfashion pressの2023-24年秋冬コレクション一覧より引用しています)。

celine(セリーヌ)

1945年創業、フランスの有名な高級ブランドです。

現在、チーフデザイナーを務めているのはエディ・スリマンというデザイナーだそうですが、彼のテーマが「少年性」と「ロック」ということで、それを体現した形になっているように思えます。

男性っぽい、ジャケットやベスト、レザーのスキニーパンツなどに柔らかい素材を合わせ、女性らしさとの融合を図っています。

DOLCE&GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)

以前、このブランドの香水の名が出てくる歌が流行ったので、なんとなく知っていますが、イタリアのブランドです。

ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナという男性デュオデザイナーが1982年より共同で手がけているとのことですが、非常に女性らしいシルエットを得意としているようです。

このデザインも確かにマスキュリン要素の強いデザインであるにも関わらず、ウエストやヒップラインが強調されていることで女性らしく見えます。

prada(プラダ)

1913年にプラダ兄弟によってイタリアで創業されたブランドです。

当初は、皮革製品を専門に取り扱っていたのが、1989年に婦人服などのアパレルにも参入し始めたそうです。

ナイロン素材を使用するのが得意だそうですが、このコレクションにも使われているのでしょうか?

男性が着るようなゆったりしたジャケットに真っ白のフリルスカートやミニスカートを合わせているところなど、カジュアルラインとして、この秋冬に取り入れてみても良さそうな感じがします。

MaxMara(マックスマーラー)

1951年、アキーレ・マラモッティが創業したイタリアのブランドだそうです。

このブランドのアイコン的アイテムは、この写真にもあるボリューム感たっぷりのエコファー素材のコートだそうですが、この秋冬は ゆったりとしたワイドパンツにシアーなタートルネックとビスチェを合わせることで、マスキュリン&フェミニンを体現しているといえます。

RalphLauren(ラルフローレン)

ニューヨークのデザイナーであるラルフ・ルーベン・リフシッツがが1968年に立ち上げた自身のブランド「ポロ (Polo)」が発祥となっていますが、婦人服を手掛けるようになったのは1971年からだそうです。

これを見ると、男性と同じようなデザインのスーツをカッコよく着こなしつつ、首元に大ぶりのボウタイ、さらにその後ろのシアー素材が見えかくれすることで、そこはかとない女性らしさを感じさせるデザインになっています。

sacai(サカイ)

1999 年に阿部千登勢という女性デザイナーが始めたブランドだそうです。

「日常の上に成り立つデザイン」というコンセプトで異素材のミックス、タック、プリーツが得意で前後左右での印象が変わる面白いシルエットが特徴だそうです。

確かに、これも革とファーという異質な素材をドレープを効かせることで違和感なく融合させていたり、オールインワンの無骨なシルエットにシースルー素材を組み合わせることでオフショルダーのようなデザインになっていたりと素材の面白さが強調されています。

この秋冬はレザーをうまく使いこなすコーディネートが流行るかもしれません。

fendi(フェンディー)

1925年アデーレ・フェンディとエドアルド・フェンディ夫妻が、ローマにて創業したブランドです。

当初は毛皮工房だったそうですが、今はバッグ・靴、服飾、サングラス、宝飾品、時計なども手掛けています。

パンツにミニのプリーツスカートやラップスカートを組み合わせるのが新鮮です。

また、この肩を出したベストスーツがあることで、大人っぽさが保たれているように感じます。

VALENTINO(ヴァレンティノ)

1957年にヴァレンティノ・ガラヴァーニによってイタリアに設立されたブランドです。

設立当初から、人気のクリエイターに恵まれ、華々しくデビューしたとのことですが、今も誰もが知っているハイブランドです。

この秋冬のキーワードがフォーマルな紳士服に用いられる「ブラックタイ」ということで、すべてのデザインにブラックタイが使用されています。

一方、クロップドジャケットとマキシフレアパンツ、オーバーサイズシャツに、ラメのパンツなど、メリハリの効いたシルエットと肌見せで女性らしさを強調しています。

まとめ

今年の冬は、女性らしいアイテムに、あえてテーラードジャケットを合わせてみるとか、男性らしいアイテムにチュールスカートを合わせてみる、シアートップスとビスチェを合わせてみるなど、少し冒険してみると面白いかもしれません。

今から少し構想を練っておくと良いですね。