同じような話題で、以前私は「UNITED ANTS」が168cm以下の男性を「小柄」としてターゲットを設定した訳という記事を書いています。
今回は、その競合ともいえるcalm160というブランドについて比較してみたいと思います。
ターゲットの設定
◎UNITED ANTSでは168㎝以下の小柄な男性を対象にしています(ただし、この168㎝の設定についてはきっとマーケティングの観点から結構悩んだ上に設定されているということを記事にしています。)
◎calm160は160㎝前後ということで、これも「前後」というのがなかなか曖昧で憎い設定ではありますが、UNITED ANTSよりもややニッチな市場をあえてターゲットにしているといえます。
創業の背景と事業形態
◎UNITED ANTSはご自身も162㎝と小柄な大谷さんの実経験をもとに、2020年10月にクラウドファンディングで小柄男性向けのフレアパンツを起案したことが話題となり、2021年1月にオンラインサイトが立ち上がりました。
今もお一人で経営しているとのことですが、当初からinstagramで同じく小柄の男性の投稿を許可を得ながらリポスト(誰かの投稿を借りて再投稿することだそうです。 Twitterの引用と同じ。)するスタイルでフォロワーを増やしています。
SNSをうまく活用し、商品の売上を伸ばし、新製品開発のヒントも得ている事業だといえます。
◎calm160は株式会社ファイブミーターズという会社が立ち上げたブランドで、稲田さんという女性が代表者です。
創業は2023年1月と非常に新しい会社ではあります。
「まずは自分の半径5mの身近な人の”なりたい”を実現していきたい」という想いが社名の由来ですが、このブランドの立ちあげのファーストストーリーと題してblogがあり、これによると稲田さんのご主人が161㎝と小柄で、カジュアルアイテムだけでなく、ビジネスアイテムも含めてお洋服の悩みを解決しようと一念発起したそうです。
これもまずはクラウドファンディングでT-シャツを販売したところ、好評だったことから本格的に開始したようです。
その後、ユーザーからの声でスラックスも開発したようです。
ただ、上述したように、calm160は会社の事業の一部門に過ぎず、法人のマーケティング支援事業なども手広く行っていますので、ある程度余裕がある(?)のかもしれません。
主に公式LINEを使ってユーザーとの密なコミュニケーションを確保しながら、さらなら商品の改良や申請開発を促進していることから、やはりSNSを効果的に活用しています。
アイテムのラインナップ
UNITED ANTSの方がアイテム数も多く、フレアパンツから始まったように、ややカジュアル路線です。
バケットハット(略して「バケハ」って呼ぶらしいですよ)とのコーディネート、細身のシャツ、ジーンズなどのラインナップを見ると、30代ぐらいまでの男性が普段使いのアイテムとして購入するのではないかと思います。

一方、calm160はまだアイテム数は2種類しかなく、非常にシンプルです。
とはいえ、これも30代以上の社会人にとって、やはり普段使い、あるいはビジネスカジュアルとして取り入れるための超基本的なアイテムであり、これこそきちんと自分の体にフィットするものが欲しかったと考えている人は多いかもしれません。

両者の棲み分け
既に小柄男性向けアイテムを展開しているブランドUNITED ANTSが存在することを知りつつ、事業の一環とはいえ、同じ市場に進出したcalm160。
当然、戦略比較をしたうえで進出したのだと思います。
今の段階では、ターゲット層を狭くしたことにより市場は小さくなりましたが、ビジネスマンの寿命は長く、若い人の人口は減っています。
それに目を付けて、よりコンサバティブでシンプルなアイテムに特化させたのではないかと考えます。
今後、ジャケットやワイシャツ、ポロシャツなどで同様のラインナップを打ち出しつつ拡大していくことでUNITED ANTSと棲み分けつつ、小柄男性向けの二大ブランドになりうる可能性を秘めているかもしれません。