アトウ「ATO」 というブランドを初めて知りました。
一目見て面白い!と思ったのですが、Webサイトに行って見たらメンズブランドでした。
松本与(アトウ)というデザイナーの方が作っています。
女優の井川遥さんの旦那さんだったんですね。知りませんでした。
このブランドの写真をいくつか見たところ、あくまでも素人目からの印象で申し訳ありませんが、
ここ数年前から広がってきたジェンダーレスの流れ…。以前は頑張って、試行錯誤しながらの試みだった感があるのですが、最近はかなり自然に融合されてきているようなような気がします。
私だけかもしれませんが、これ、女性が着ても全然おかしくないし、むしろ着てみたいです…。
特にオシャレに柔軟な20-30代前半の方ではなく、30代後半からの男性が、このスタイルをどう感じるのかなというところに非常に興味があります。
男性、女性に限らず、その日のファッションスタイルを決める時にさえ、今日はちょっとフェミニン寄りにしようかな とか、今日はマスキュリン寄りのアイテムを少し強めに….などして調整するというような考え方が当たり前になる日も近いと感じます。
メンズスタイルの中に違和感のなく女性らしさが取り込まれている「ATO」のアイテム
私はこれまでも数々のジェンダーレスファッションを取り上げてきましたが、
Gender fluid(ジェンダーフルイド)~揺れ動く性差とファッション~
男性用スーツを着たいすべて人に向けたサービス Men’s Suit for ALL GENDER
正直、やや他人事感がありました。
でも、今回のスタイルはもう少し近しい感じがします。
なぜでしょうか?
カジュアルファッション:気恥ずかしさの払拭
カジュアルテイストだからといって、フェミニンな要素をいきなり組み合わせるのは難しいと思いますが、そんな要素を笑い飛ばすような、あるいはそれが霞むようなテイストに組み合わせることで、気恥ずかしさを払拭できるような気がします。
今回のスタイルで特に目を惹かれるのは、この大きなタイです。
ここまで大きなタイを付けてしまうと、かなり目立ちますし、なにより何だかスノッブな感じがして、なかなか取り入れることが困難な気もします。
しかし、これをスウェットやスニーカーなどのインフォーマルなアイテムと合わせたり、ストライプシャツや同系色のストライプベルトなどちょっとポップなスタイルと組み合わせることで、所謂「王子様っぽい」というか、やりすぎ感が緩和され、かなり取り入れやすくなっているような気もします。
フォーマルファッション:分かる人にだけ分かる小さなこだわり
フォーマルファッションにおいてフェミニンな要素を取り入れることは、今日日まだリスクの高い行為かもしれません。
しかし、これまでのスーツやシューズが時代の変遷とともに細かいデザインのマイナーチェンジを遂げてきたように、襟元や袖口、裾などに気づかない程度のフェミニン要素を取り入れることで、柔和さや寛容さ、柔軟さなどが醸し出され、フォーマルな場での意外な効果があるかもしれません。
個人的にはモデルさんがかなり性別不祥な感じなので、もう少し無骨なモデルさんを使って、このスタイルの意義というか良さを男性にアピールしてほしかったです。
レディースアイテムだと埋没感が否めない
私が見たオンラインショップでは、女性のモデルが着用しているアイテムはなかったのですが、インスタグラムでは女性が着ている写真もあります。
個人的にはとても好きです。
でも、以前私が「23~24年秋冬トレンドワード「マスキュリン&フェミニン」を読み解く」で書いたよう流れから考えると、他のブランドも同じようなコンセプトのスタイルを出しているような気がするので、そうすると、もしかするとそれらに埋没してしまいそうです。
性別を超えて着たいと思える服
こう見ると、本当に女性だろうが、男性だろうが全然関係なくなっているような気がしてなりません。
「こんな大きなタイが付いているブラウスなんて着られるかよ」と思っている男性に着てもらって、そこまで違和感がないことを実験的に確かめたいような気もします。
そして、異性のモデルが着ているからあきらめるのではなく、素敵だな と思える服がもっと増えるといいなとも思いました。
このブランドはパターンを大事にしているとのこと….もし可能なら、サイズ面の安心感さえクリアしたならば、価格帯もそこまで非現実的でもないことからものすごい潜在性(つまりもっと多くの人が手に取りたいと思う)を感じました。