GMS(General Merchandise Store(総合小売業))とファッション

装いの法則

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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またまた私の知らない言葉が出てまいりました。

「GMS」…ご存じでしたか?

これは、総合小売業のことで、いわゆる食品だけでなく、日常生活で必要な物であれば何でも取り扱っている大衆向けの大規模な小売業のことです。

具体的な会社名としては、日本経済新聞社によると21社の登録があり、その中には誰もが行ったことのあるお店の名前があります。

沖縄の場合はサンエーが有名ですが、ユニーとかイトーヨーカ堂、イオンなどでしょうか。

ところで、2023年3月に、イトーヨーカ堂は3年間で実用衣料以外のアパレル事業から撤退するとの記事がありました。

イオンも衣料品部門の見直しを図るそうです。

確かに、消費者である私達自身、肌感覚としてGMSの衣料品コーナーの存在感は今やかなり小さくなっていることを感じます。

GMSの取り扱い物品数は10万種類以上とも言われており、ありとあらゆるモノを販売するが故に抜本的な改革が出来なかった部分に、大幅にメスを入れた形になったのではないかと推察します。

今回は、私も勝手に改善策を提案してみたいと思います。

何でも買える=集客力 食料品を目玉に何でも買わせる仕組みづくりを強化する

忙しい週末、郊外型の店舗を何件も巡回するのは面倒です。

どこに停めたかわからなくなる系の駐車場….。

大型店舗になればなるほど駐車場も大きいため店舗に入るまでのタイムロスを考えると、すべてのことを済ませられるGMSの魅力は絶大です。

とりあえず、サンエーかイオンに行くか…家族で車に乗り込むという流れになります。

食料品も買うけれど、その後に衣服も買いたいな とか

衣服をメインに見るけれど、帰りにお惣菜でも買って帰ろうかな などの要望に非常にフィットします。

つまり、食料品も買えることで圧倒的な集客力を持っているという強みがあります。

そんなときに保冷付きのコインロッカーをもっと設置することで、食料品以外の売上が大いに伸びるのではないかと思います。

すでに設置してある店舗も多いのですが、圧倒的に数が少なく、アピールもされていません。

保冷付きコインロッカーをもっと活用してもらうことで、朝の特売でお肉買っちゃったから長居できないな…という心配がなくなるのではないかと思います。

あるいは、大型の品物、重量のある品物を購入した場合の店舗取り置きシステムを充実させるとか、なんなら車に運び入れるところまでサービスを拡充させるというのも良い案かもしれません。

つまり、お客様は車で来ているのだということをもっと認識する必要があります。

地域や生活に根ざした鉄板の実用衣料をいつでも買えるという安定感をアピール

実用衣料…という言葉も初めて聞いたのですが、例えば下着とかパジャマとか、靴下とか…お子様のいらっしゃるご家庭であれば、上靴とか体操服とか。

また、週末に子供からいきなり「来週の月曜日に調理実習があるから、エプロンと三角巾を持っていく」とか言われて、「三角巾?……….そんなものどこに売ってるの?」

研究機器販売でお馴染みアズワンになぜか売っていた児童用エプロンと別売ですが三角巾)

「俺のパジャマかなりくたびれてきたよ….これ、そろそろ、買い換えようかな…?」と言われて、「男性用のパジャマ? どこに売ってるかな…?」

はい、そういうものこそサンエーとかイオンにあります!

これぞ何でも売ってるGMSの大きな強みです。

今回の改革において、どの企業も「実用衣料」は温存させているのは、やはりこれを強みであるという認識があるからだと思います。

しかし、最近はユニクロにもパジャマや靴下、下着が売っています。しかもかなり安価に。

実際、店舗に行って、何の変哲もない男性用パジャマが5000円….何か微妙に高い。

確かユニクロにもあったんじゃない?と惜しくも離脱する可能性があります。

では、どうすれば良いか。

であれば、それこそユニクロでは取り扱わない非常にマイナーでオーソドックスな物品に着目するとか、彼らの営業時間外でも購入できることなどをメリットにすべきではないでしょうか?

つまり、地域性も含めてこれまでの売れ筋やターゲット層を解析し、必ず売れる製品に特化、極めてオーソドックスなパジャマや、マイナーなエプロン、急な喪服など、むしろユニクロには絶対に売っていないような品目をPBなどでできるだけ安価に開発し、それを通常営業時間に販売するというのはいかがでしょうか?

きっと、ユニクロのエアリズムとか、無地でスタイリッシュなパジャマではなく、いわゆるサッカー生地の昔ながらのパジャマを好む古風なお父さんもいることでしょう。

日本人のパジャマはこれに限る
この凹凸がある生地がサッカー生地です

子供~ティーン向け製品の拡充幼児は卒業したが、ユニクロ・GUのXSはまだ早い層をターゲットに

赤ちゃん、幼児向けのラインナップはそこそこありますが、130㎝ぐらいから160㎝ぐらいの子供用の衣料品がなぜか少ないような印象があります。

もう子供用品というほどでもないけれど、GUやユニクロも違うという層が、路頭に迷います。

この層を保護者も含めて、要望やトレンドのデザインなどをヒアリングするなどして、もう少し充実させるのが良さそうに思います。

それこそ、この年齢層が自発的に保護者を誘って洋服を買ってもらう、またこの年齢層が連れ立って洋風を選ぶことのできるスペースにすると、GMSにまた違った風景と需要が生まれるような気がします。

婦人服の苦悩完全撤退し、あまったスペースを専門店に貸すのが吉か、それとも….

確かに、特にGMSが直接取り扱っている婦人服売り場については、あまり利用されていないという肌感覚はあります。

置いてあるものは決して悪くはないのですが、いわゆる「ごった煮」感があり、目当てのアイテムを探しにくかったり、ターゲットがはっきりせず、30代~70代ぐらいまでのデザインが雑然かつぼんやりと陳列されているようなイメージです。

価格もそれなりにします。

実際に多くの在庫を抱えている店舗が多いとのこと。

冒頭のイトーヨーカ堂においても、食料品以外の売上は生活雑貨50%、衣料品35%、子供用品15%だそうですが、衣料品の15%は実用衣料、残りはシニア対象ブランドで占めているそうです。

やはりオシャレに意欲的な20-60代ぐらいまでの層は、GMS直販ブランドをあまり利用していません。

各店舗の対策を見ると、これまでは男女でぼんやり分けていたスペースを、活用シーンや年齢別でまとめなおし、それぞれを専門店型として陳列したり、

この記事にもあるように、広島県で展開しているイズミというGMSはすでに2022年8月の段階でいわゆるOEMとでも言いましょうか…「グローバルワーク」などでおなじみのブランドであるアダストリアと協業し「SHUCA(シュカ)」という新ブランドを立ち上げるなどして、若返りを図ろうとしています。

確かに、勢いのある30-40代を取り込みたいという想いはわかるのですが、ガチで勝負して大丈夫かな..とも思います。

私としては、このシニア向けファッションを極めるというのも一つの手ではないかと思います。

近所のサンエーに入っているシニア向け(?)テナント デザイン性は高い

既に一定の需要があるという事実があるのであれば、もう少し潜在的な課題と可能性を抽出し、これを拡張するというのが面白そうです。

70-80代が食料品を買ったついでにフラッと立ち寄り、服を買っていく風景が定着し、オシャレなシニアが服を吟味する。

それを横目で見つつ、通り過ぎていく30-40代が、シニアになったらこういうのも悪くないな…と思う。

そんなブランドが展開できれば、それこそ、「何でも売っていて誰もが集う真の意味でのGMS」に成り得るのではないかと思います。