GUの意識調査から考える「ファッショントレンド」との付き合い方

装いの法則

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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GUはこれまでも度々ファッションに関するアンケート調査を行っており、それを自社の活動に活かしていますが、この度、20〜59歳男女500名に対し、ファッショントレンドに関する意識調査を行ったそうです。

その結果が面白かったので、記載したいと思います。

トレンドを取り入れていない人は6割 、うち2割は「以前」は取り入れていた

このアンケートはこちらに掲載されています(以下、図表はすべてこちらから引用させていただいています。)

4月の新生活開始前に合わせたアンケートだったようですが、今回注目すべきは、トレンドに対する購買行動やその考え方を問うたアンケートの回答です。

「あなたはファッショントレンドを取り入れていますか?」という直球の質問に対し、取り入れている人は約40%、取り入れていない人は約60%という結果が得られています。

アンケートに回答した年齢層分布とその中での割合も知りたいところですがソースはGUのサイトにも公開されていないので、知り得ません。

とはいえ、総体としてファッショントレンドを取り入れていない人が6割もいます。

しかし取り入れていない人のうち、2割が「以前は」取り入れていた人です。

そうすると、やはりファッショントレンドを一概に侮れなくなります。

4割は本当にトレンドに興味がない層なのかもしれませんが、残りの6割は「ある程度興味がある(あった)層」であるともいえます。

品質を保ちながらある程度コンサバティブなデザインのアイテムを安定的に追求できるユニクロとは異なり、GUは、ファッショントレンドを意識した安価で高品質なアイテムをできるだけ多くの人に向けて提供していかなくてはなりません。

GUにとって、消費者の「今」の気分を知るためにもこのアンケートは非常に重要だと思います。

そういう視点から考えると、すでにトレンドを積極的に取り入れる4割には、これからもトレンドをいち早く取り入れたアイテム提案をより強化していけば良いということになります。

一方、さらなる成長を遂げるには、この「ファッショントレンドを取り入れない6割」をどうにかしなくてはなりません。

なぜ取り入れないのか、またそのうちの2割がなぜ取り入れなくなったのか、その原因を深掘りして解決する方法を考える必要があるからです。

取り入れなくなった原因

年齢とライフスタイル

「以前は」ファッショントレンドを取り入れていた2割の人に、何歳ごろから取り入れなくなったかを質問した回答結果が以下の棒グラフです。

公開されている解説では、取り入れなくなった平均年齢を男女それぞれ割り出し、30代前半がトレンドファッションを取り入れる年齢の“境界線”として、これ以降は徐々に世の中のファッショントレンドを取り入れなくなる…という解釈をしています。

なるほど…と思いつつも、個人的には単に平均値でならしてしまうだけでなく、このグラフのピークの形状と男女差から、以下のような解釈もできるかなと思います(独断と偏見です)。

つまり男女とも20-29歳において数値が高いのは、それこそ就職によってこれまでのファッションアイテムの選択が大幅に変わり、トレンドよりもベーシックへと路線変更せざるを得なくなったという解釈

また女性は、30-39歳がトレンド離脱のピークですが、この時期はまさに結婚や出産、昇進などで生活スタイルが変わり、トレンドを追いかける暇がなくなったという解釈

一方男性は、ファッションがもともと好きな方は、就職後も休日などはこれまで通りトレンドアイテムを取り入れたオシャレを楽しみ、パパになってもそれほど意識は変わらなかったのが、40代に入ってなんとなくギャップを感じ、トレンドを取り入れにくくなったという解釈

トレンド情報との接し方とトレンドに対する感じ方

トレンドを取り入れない理由としては、トレンドがわからない(約40%)し、いつの間にか始まって終わっているというその流れについていけない(約30%)という回答で7割近くを占めています。

また、自分が好きなスタイルがある(約30%)し、トレンドに左右されたくない(約25%)という回答も5割以上を占めています。

公開されている解釈としては、「トレンドについていけなくなったから」「自分のファッションスタイルが確立されているから」ということになっています。

つまり、企業側としては、トレンド情報を消費者にうまくキャッチできるように発信できていないということと、保守的な層に対して購買意欲を掻き立てるようなプロモーションができていないということになります。

ということは、トレンドの意義とは矛盾するかもしれませんが、情報をもっとわかりやすく、いつ終わるかわからない一過性の流行として発信するだけではなく、既存のコーディネートにも取り入れやすくするような提案も同時にしていく必要があるのではないかと思います。

つまり、保守層の確立したスタイルを根底から揺るがすような珍奇で異質なものではないと思えるような発信の仕方が重要なのではないかと思います。

2人に1人はファッションに迷っている?

地方のショッピングモールにも出店し、まさに老若男女が訪れるGUは、ユニクロと同じ戦略では成長できません。

トレンドのレベル感を絶妙に設定し、ユニクロでは買えないラインナップを揃えることで差別化を図りつつも、メガブランドとして成長し続けるためには、トレンドに抵抗感のある層も取り込んでいく必要があります。

そういう意味で今回のアンケート結果からは、結局「トレンド」という言葉のイメージが先行し、抵抗を感じている人が多いのではないかという仮説が立てられます。

つまりトレンドかどうかというよりも、現代生活に違和感なく馴染み、自分に似合うものであれば取り入れたいと考えている人が少なくとも半数程度の割合で存在すると考えても良さそうです。

GUのファッションアドバイザーサービス「おしゃリスト」

比較的年齢の高い層は、もしかするとユニクロを巡回してからGUにも立ち寄るかもしれません。あるいは子供の同伴で立ち寄る可能性もあります。

安いけど若者向けのブランドだな…と思うだけで、手に取らなければ販売機会の損失です。

トレンドと聞くだけで顔をしかめる保守層には、まずこのトレンドアイテムを知ってもらい、受け入れてもらう取り組みを積極的に進めていく必要があります。

とはいえ、私だけかもしれませんが、ユニクロとGUは基本的に「放っておいてくれる」のが魅力です。

色々なアイテムを持ち込んで試薬室で思案していても、カーテン越しから聞こえる店員さんの「いかがですか~?」という声を聴かなくて済むという理由でGUに行く人も少なくないのではないでしょうか?

そんな中、GUでは一部店舗で予約制の「おしゃリスタ」というサービスを展開しているそうです。

消費者の好みに応じてGUのトレンドアイテムをうまくセレクトしていくれるというサービスのようです。

これは、興味を持っている人には良い提案ですが、保守層の心を動かすためには、もう少し踏み込んだ取り組みが必要かもしれません。

トレンドとのほどよい付き合い方を目指すのであればパーソナルなスタイリングサービスがベスト

また、ファッションブランド側が提供するスタイリングサービスは、当然ですがアイテムの販売を最終目的としていますので、「放っておいて欲しい」「吟味したい」層にとってはちょっとハードルが高いような気がします。

しかし、ブランドの枠を超えて依頼者の特性や気持ちにフォーカスしたパーソナルなスタイリングサービスは、いわば混沌とした思いやこれまでのファッション遍歴、ライフスタイルも含めてファッションの方向性を相談できる頼もしい存在だと思います。

トレンドとの向き合い方や取り入れ方は、千差万別。

手前味噌で恐縮ですが、それらを汲み取れるのが強みです。

是非一度ご検討ください。