こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、「あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?詳細はこちらの診断メニューをご覧ください。
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今日、見ていたのは、色や形にこだわったシューレース(靴紐)を取り扱う「NODCシューレース」という会社のことを書いたある記事でした。
特に最近、ビンテージ風のシューレースの売れ行きが好調で、スニーカーカスタム界で有名なKENJI GRAPHICS氏とコラボレーションした製品はすぐに売り切れになってしまうそうです。
私は当初、このブログの記事を作成するにあたり、いつも履いている靴のシューレースを換えたとすると、紐だけが新品でちぐはぐな感じがするので、ちょっとビンテージっぽいシューレースというのはいいかもしれないな…。
という程度の趣旨でまとめることを考えながら、漠然とこのWebサイトを眺めておりました。

このWebサイトはあくまでもスニーカーではなく、その付属品であるシューレースを専門に取り扱っているのですが、ほとんどの製品はこのようにスニーカーに結んだときのイメージが掲載されています。

そのため、最初はその違いがよくわかりませんでしたが、確かに下の各種ノーマルな製品と比べると、上のスニーカーと紐は、やや土汚れが染みついていて、これで一年ほどグラウンドを走っていたかのようなユーズド感があります。


さらに冒頭の「スニーカーカスタム界」という文言がやけに気になって、調べ進めると、KENJI GRAPHICS氏のように、ハイテクスニーカーやブランドスニーカーにわざとダメージ加工をするサービスや、それで有名になった職人のような方がいるんですね。
スニーカーを含むファッションアイテムのビンテージ・ダメージ加工
ファッションアイテムだと、ジーンズやシャツなどはときどきダメージ加工という破れや擦れ、ペンキ汚れのようなデザインが施されているものがあります。


同様にスニーカーの世界にも、ダメージ加工を専門に行うサービスがあるようで、それについての記事やインスタグラムなどは探せば沢山でてきます。
また、ビンテージ加工が初心者でも簡単にできるペンなども販売されているようです。

また、近年、有名なブランドがユーズド加工したスニーカーを打ち出して話題になったそうです。


これらに共通するのは、新品をあえて汚すという行為です。
ダメージ加工をする心理とは
確かに、ピカピカの靴や服をいかにも昨日買いました!という体で意気揚々を身に着けていくのはなんとなく気恥ずかしいという気持ちはわかります。
(私は散髪後、せっかくきちんとセットしてくださるのですが、恥ずかしくてわざと髪をクシャクシャクシャー!!としてしまいますが、それも同じような気持ちでしょうか…)
とはいえ、なぜそうしたいのか。
それについては、例えばグランジ(grunge:汚い、不潔な、粗悪な、不愉快にさせる)などといったファッションや文化の考察が色々なメディアで掲載されていますが、社会的な体制への反発心などからくる心理があります。きちんとしたもの、新しくて整然としているものへの抵抗をファッションで示したいという気持ちが原動力になっているといえます。
また、何年も身に着けて、よれたりダメージが入ったりしても一つのアイテムを愛着を持って身に着け続けていることをファッションとして自己表現したいというような気持ちもあるかもしれません。
あるいは、新しいものが販売されると、すぐに入手して人に見せびらかすようなふるまいに対する羞恥心や、後ろめたさのようなものを、汚すことで隠蔽するというような気持ちもあるかもしれません。
さらに、わび・さびといった、どうせ形あるものは壊れていくという前提のもとで、つつましく、質素なものや、時間の経過によって表れる美しさに趣を見出すというもので、これ見よがしに高価で目新しいものを忌み嫌うというような美意識も含まれているかも….?
それらの複雑な心理を見越したうえで、それをカッコイイと感じる層の嗜好を満たすお高いファッションアイテムやサービスが逆に生まれてしまうという皮肉に、人間の性というか哀愁を感じますよね…。
つくづく、人間って……面白!! と思います。