服と人のつながりは新たなマーケティング手法になりうるか~RPMプロジェクト~

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こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、「あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?詳細はこちらの診断メニューをご覧ください。
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最近、面白い記事を見つけました。

パナソニック株式会社が提唱するRemoving Microaggression Products Project(通称 RMP Project / ランププロジェクト)の一環としてオールインクルーシブな服作りを目指すSOLIT株式会社のTシャツをこの度100枚限定で販売するそうです。

このプロジェクトは、日ごろ私達がモノを入手する際、無意識のうちにそれら「出処」を推測してポジティブ、あるいはネガティブなイメージを抱きながら選択しているそのバイアスを取り除くことを目的としています。

Microaggressionというのはネガティブイメージのことを指しますが、「共感からはじまる未来の購入体験」という文章が副題としてついています。

具体的には、Tシャツの生産に関わるヒト(生産者)の個人的な嗜好や生活などを、ブロックチェーン技術とWEB3.0技術を組み合わせて購入者と共有することで、プライバシーや所有権を守りつつ、モノを通じて生産者と購入者とのつながりを持たせるという取り組みです。

以前の記事で、WEB2.0について説明しましたが、WEB2.0が不特定多数に向けたコミュニケーションであったのに対し、WEB3.0はそれよりも狭い、いわば会員制のコミュニケーションといえます。

このWEB3.0技術をベースとしたプラットフォームを提供しているのはFinal Aimという会社です。

なんだかまた色々な新しい言葉が沢山出てきましたね….。

一応、このブログでちらほらそんな技術をかじっているので、イメージはしやすいかもしれませんが、なかなか実験的な試みなので、少し解説してみたいと思います。

旗振り役としてのパナソニック

これはパナソニックのFUTURE LIFE FACTORYという先行開発に特化したデザインチームの取り組みだそうです。

「これからの豊かなくらしとは何か」ということに主眼を置いて新規事業のアイディアを見出すための部署なのですね。

これまでの取り組みを見ても、面白いものが沢山挙がっています。

今回のプロジェクトは彼らの発案ではあると思いますが、いわばコーディネーターというかディレクターのような役割を担っているのではないかと思います。

個性に応えるモノづくりをするSOLIT株式会社

今回、我々が日々選択するモノの一例としてTシャツを生産・販売するのが、SOLIT株式会社ということになります。

ちょっとWebサイトに行ってみると、面白い会社であることがわかります。

アイテムは多くはないのですが、一つ一つにおいてかなり多くのサイズ展開が用意されており、細かい配慮が行き届いたカスタマイズができます。

また注文してから作り始めるそうで約45日かかりますが、誰にでも抵抗なく着られるベーシックなアイテムが比較的低価格で販売されています。

ジャケット一つとってもこのバリエーション…。すっすごい。



また、この「誰にでも」というのは 老若男女に加え、何からの障害を持っていたり、特殊な体型の方なども含まれています。

この誰でも着られる服を提供するというコンセプトは、創業者である田中美咲さんが、この会社を興す動機でもあり、この会社の理念になっています。

デザイン&デジタル製造業のブロックチェーンシステムを提供するFinal Aim

Final-aimは、もともとは工業デザインの契約管理に関し、多くの関係者が関わる各工程において契約の適用範囲や期間、知的財産の取り扱いを共有し、適切に履行するためのNFT、ブロックチェーンの技術を備えた、分散型ネットワーク「Final Chain」をグローバルに提供する企業です。

今回のプロジェクトではこの「Final Chain」を末端ユーザーまでを包括した、コミュニケーションを目的としたプラットフォームとして活用するそうです。

生産者への共感が購入動機となり得るか

このブログを始めてから、色々アパレル業界における情報を意識して注目するようになっていますが、今後どう考えても、ターゲット集中型のミニマム生産体制が強化される潮流へとシフトしていくことは間違いなさそうです。

そうなると、街中のショーウィンドウで広く魅せる売り方だけでなく、その製品を買ってくれそうな嗜好性を有する集団に向けて効果的にアピールしていかなければなりません。

そういう意味で、これらの企業がタッグを組む意味は大きいような気がします。

今回の取り組みでは、ファッションアイテムのバックグラウンドやコンセプト、ストーリー、作り手の情熱やぬくもりを重視する人、すなわちFPSSが提唱する服装心理診断においては、特に愛着性が高い人がターゲットになるかと思います。

あなたは作った人の顔が見える洋服に、また服を通じたコミュニケーションに魅力を感じますか?

特設サイトから抜粋