こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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先日SNSをぼさっと眺めていたら、知人が数枚の自画像をアップロードしていました。
それはその方の特徴をよくとらえていて、かつ映画やアニメのヒロインのような美しさに仕上がっていました。
思わず「めちゃめちゃ可愛い!」とコメントを付けました。
聞けば、AIが作ったその方のアバターだそうで、数枚写真を送るだけですぐに作成できるそうです(今は大人気で時間がかかる可能性があるそうです💦)。
実際、SNOWやAIピカソという写真加工アプリのオプションサービスとして、今大人気なのだそうです。

おそらく、自分に微妙に似ている唯一無二のアバターが手軽に得られ、それが結構美しく仕上がっているという事例をSNSなどで目の当たりにすると、どんなふうになるんだろう?私もやってみたい…という気持ちにさせ、連鎖的な人気につながっているような気がします。
と同時に、このAIアバター作成サービスは、本当に人間の心理にうまく着目したサービスだな…と思いました。
似顔絵や肖像画との違い
似顔絵を描いてもらう動機とは
イベント会場などでに似顔絵を描いてもらえるサービスがあったりします。

その場合、依頼するか否かの判断は、その絵師の作風に大きく依存すると考えます。
作風が依頼者の好みや好奇心と一致し、絵師という第三者から見た自分というものを似顔絵という形で確認したいのです。
そこにはなにかしらの期待感や不安感があり、人気な絵師はおそらくその不安を払拭し、期待に応える能力が高いのだと思います。
また似顔絵の流派として、「カリカチュア (caricature)」というものがあります。
似顔絵の書き方 などというHOW TO 本にはかならず、「その人の特徴をちょっと誇張して書きましょう」という解説がついています。
いわばそれを全面的にウリにしたものがカリカチュアであり、少々のグロテスクささえ加えつつ依頼者の特徴を際立たせた似顔絵です。

似顔絵師の中にはカリカリュア的な作風を特徴とする方もいます。
そういう絵師に発注する動機とはどういうものでしょう?
これもおそらく、まずはこの絵師の作風が依頼者の好みにあっていることが一つ。
次に、この絵師(色々な人を見てきて、特徴を瞬時に捉えて表現する力に優れているであろう第三者)から見た自分の本質的な外観の特徴や、そこから見え隠れする内面に関して、怖いもの見たさのような感覚で似顔絵という形で確認したいという動機付けもありそうです。
そういうわけで、似顔絵師という仕事は、単に正確に描くのではなく、顧客が何を求めているのかを最優先にして描く必要があります。
この文章を書くにあたり、「ばしでざ」というイラストレーターの方が作成されたブログがあったので、少し拝見しましたが、似顔絵の真髄をついているような気がして興味深かったです。
肖像画を描いてもらう動機とは
肖像画というと、似顔絵よりももっと大げさなイメージがあります。
それこそ、中世ヨーロッパなどの貴族をパトロンとする画家が、依頼を受けて描くというような…。

よくある動機は、写真がなかった当時、記録の替わりとして…というような説明があります。
しかし、それよりももっと大きな意味があります。
それは肖像画には、「依頼者が伝えたいイメージが込められている」ということです。
したがって、似顔絵よりももっと細かい配慮が求められ、仕草や表情、状況や背景などすべてにおいて依頼者が求めるイメージを視覚的に表現されたものが優れた肖像画といえるでしょう。
つまり似顔絵は首から上までの。ある意味、露店で販売されるクレープのようにある程度カスタマイズできるが、ほとんど決まった様式で提供される簡易サービスであるのに対して、
肖像画はそれよりももっと細かいオーダーメイドなサービスであるといえます。
そう考えると、今回の本題、AIアバターサービスは簡易的でありながらオーダーメイドなサービスであるといえます。
似顔絵と肖像画のいいとこどりの優れた次世代型サービスです。
AIアバターがなぜ優れたサービスであるといえるのか
作風が一般化されている
似顔絵も肖像画も、依頼者の発注動機はまず作風です。
絵師の作風が依頼者の好みと合致しなくてはなりません。
その点で、AIアバターはビッグデーターおよび機械学習により誰にでも受け入れられる作風であるというところが強みだと思います。
ターゲット層がどのような作風を好むのか、その微妙なテイストをうまく表現しているといえます。
提供コストが低い
似顔絵や肖像画は、時間がかかります。
イベント会場で描いてもらう似顔絵にしても、10分で描けます!という看板があったりするのは、依頼者のお金とともに時間もコストとして払ってもらう必要があり、これはサービスの提供機会をある程度損失する要因になることを示しています。
さらに通常、納品は一点です。
その点について、誰も文句を言う人はいません。しかしだからこそ、好みでなかったらどうしよう…と迷うわけで、これもやはりサービスの提供機会を損失する要因であるといえます。
一方、AIアバターはどうでしょうか?
やっていないので詳しくはわかりませんが、かなりの枚数が一気に提供されるようです。しかもそれぞれ色々な作風で提供され、依頼者はその中から好きなものを選べばよいのです。
であれば、多少気に入らないものがあったとしても、問題ありません。
数打ちゃ当たる とでもいいましょうか…。
さらに特定の絵師の作品ではなく、実体のないAIが作成したという点でも、多少難があったとしても深刻なクレームに発展しないという、提供側にとっての利点があります。
依頼者の要望と合致している
これはもうビッグデーターおよび機械学習の賜物だといえるでしょう。
私はこの点がAIアバターの人気の秘訣だと思っています。
つまり、人は誰しも、特にAIアバターを依頼する人は、他者から見られる自分というものに非常に興味があって、それが自分の考えているポジティブ面と一致していればいいな。あるいは自分が想定していなかったポジティブ面も発見できるといいな。という思いを強く持っています。
そして、そのポジティブ面というのは、その時代や風土によってある程度の法則があります。
AIアバターは今のところ、似顔絵と同様、依頼者の顔にフォーカスして作成されるサービスです。
顔のポジティブさ…というのはどういうものを指すのでしょう?
ぱっと思いつくのは、以前の記事にも書きましたが、パーツの大きさや位置において均整が取れているという理想の顔立ちというものは存在していて、それが究極のポジティブモデルとして挙げられます。
一方、その時々の時代に活躍する俳優やアニメの登場人物の顔もポジティブモデルとして挙げても良いかと思います。
彼らの顔立ちは多種多様で、美しさとともに、多少癖があることで、その人物たらしめる特徴となり、メディアにおいて記憶に残りやすくなっていることも、ポジティブな要因の一つだといます。
おそらくAIは、まさに魅力として認知されている顔立ちのそういった癖も変換係数に加えているのではないかと推察します。
具体的には、目が小さく離れているベビーフェイスが特徴の〇〇という俳優において、輪郭や眉の位置や形、口の大きさなど、その他の特徴をポジティブモデルとして係数に入れておく。
その上で、同様に目が小さく離れている依頼者に対して、この俳優のモデルを参考にしつつ、その特徴をほんの少し誇張したアバターを作成する。

というようなパターンを他の要因でもいくつか用意する。
そうすると、例えば依頼者はその中で、自分でも多少気に入っている要因が誇張されたアバターをより好ましく思うのだと思います。
私って、こんなにベビーフェイスだった? これはいくらなんでも可愛すぎるよね! でもちょっと似ていると思わない?
というように、自分の魅力を嫌味なく第三者にもアピールできます。また、第三者からもポジディブな反応が得られ、作成して良かったな….と思えるという仕組みです。
AIアバターの今後の展開を予想
AIアバターは男性版もあるようですが、一転して面白系の比率が高いような気がします。
意図してそうなっているのかどうかはわかりませんが、トンチキな感じに仕上がったものが混ざりこんでいて、それらを公開することで笑い飛ばすのが逆に好評です。
これは男性においてあまりポジディブデータが蓄積されていないのか、あるいは女性向けではない、男性向けの要望やガチの美男子アバターが生成されることへの照れくささの回避などがAIの機会学習に反映されているのでしょうか…?
そう思うと、AIアバターは今後のメタバース市場の前段階となり得ます。
また、自分のアピール点を明確にできるという点で、ファッションやメイク、またイメコンと呼ばれる分野においても、キーとなる技術になると思われます。
私はというと、赤塚不二夫とか水木しげる、さいとう・たかを(あれ?真ん中にコンマが入ってますね)、荒木飛呂彦、あるいはMARVELのようなアメコミテイストのアバターを作ってもらって、どんなふうになるか見てみたいものです。
