綿花やダウンに替わるか、カポック繊維の可能性

繊維

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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今回はこのカポックについて記事にしています。

実はこのカポックについては、以前から記事にしようしようと思いつつ、内容が多すぎて収拾がつかなくなり断念したという経緯があります。

今回は、これを3つの記事に分けて説明したいと思います。

 第1話:綿花やダウンに替わるか、カポック繊維の可能性

 第2話:サスティナブルナ繊維原料とは

 第3話:カポック繊維原料は沖縄にだってあるんです

カポックとは

カポックというのはインドネシアに原生している樹木で、別名パンヤノキとも呼ばれています。
この木の実からとれる綿が今、新たなサステイナブル素材として注目されています。

カポックの綿

カポック繊維は本来繊維が短く紡糸することが難しいため、第二次世界大戦頃までには枕やボールの詰め物、救命胴衣や救難用の浮き輪の中身などに用いられていたそうです。

サスティナブル原料として再注目されているカポック繊維

スタイレム瀧定大阪による素材販売

しかし、3年前から繊維専門の商社であるスタイレム瀧定大阪はこのカポック繊維に再び注目し、オランダのFlocus(フロッカス)と協業し、カポック繊維を導入、ECOARCH®KAPOKというブランド名でヴィーガンダウンや寝具などの中綿として活用を進めています。

スタイレム瀧定大阪より
スタイレム瀧定大阪 ECOARCH®KAPOK より引用

近年、ダウン価格が高騰していること、またヴィーガン市場の高まりによるアニマルフリー製品に対する需要、原油価格高騰による合成繊維綿の代替、さらに綿花の価格不安定などに伴い、ニーズが高まっているとのことで、アパレルを中心に製品開発を進めています。

カポックジャパン株式会社によるサスティナブルブランド化

また、このカポックが日本で注目されるようになったきっかけはカポックジャパンによる KAPOK-KNOTというブランドです。

KAPOK-NOT Web siteより引用

2021年には以前私の記事でも取り上げたヘラルボニーとコラボレートしたアートコートを販売したり、

ヘラルボニー×カポックノット
prtimes.jp より引用

2022年には二階堂ふみさんとのコラボレーションを実施したりと単なる中綿用途ではなく、コンセプトを強調したアーティスティックな製品としての可能性を模索しているように見えます。

二階堂ふみ×カポックノット
prtimes.jp より引用

他の繊維と混ぜてより使いやすく

これらを見ると、やはりどうしてもカポックから糸を作って「布」として使うことはかなり難しそうな印象を受けます。

というわけで、カポック15%・綿85%の混紡した強撚糸はすでに結構流通しています。

中空率の高い特性を生かして軽量さと吸湿性をアピールした製品がワークマンなどでも販売されています。

カポック綿混紡糸を用いた製品
workman.jp より引用

カポックは地球を救えるか

大げさなタイトルすみません。

木から大量に原料を採取することは実は難しいと思っています。ちょっと想像するだけでも栽培サイクルの長さ、収穫の難しさなどが課題なのではないかと考えてしまいます。

単純にサスティナブルだと言っていいのでしょうか? 

その辺も含めて、次回以降ももう少し掘り下げたいと思います。

 第2話:サスティナブルナ繊維原料とは

 第3話:カポック繊維原料は沖縄にだってあるんです