「よそ行き」の洋服はいらない。愛着のある洋服こそ何度も着ることのメリット

装いと私

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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久しぶりにクローゼットから出したら、劣化が進んでいて、数回しか着ないまま泣く泣く処分したという経験はありませんか?

実は私も一度、そんな経験をしています。

しかしその後、いわゆる「よそ行き」の洋服という概念をなくして、すべての洋服をまんべんなく着るように心がけたところ、色々なメリットがありました。

今回はそんなことを書いてみようかと思います。

着ないことで生じるリスクと着ることで生じるリスクを比べる

劣化・損傷リスク

繊維に限らず、ほとんどの有機物質は紫外線や湿気、微生物や温度などの影響で、加水分解や、光分解、生分解、変性(構造が変わること)が経時的に進みます。

とっておきの日に着るために大事にしまっておいたからといって、ずっととっておきの状態を維持することは難しいのです。

一方、1シーズン中に何度も着ることで、汚れの付着、摩擦や紫外線による劣化が進みます。あるいは突発的なアクシデントによって思わぬ汚れや破損のリスクも当然あります。

しかし、いずれにせよ確実に進む劣化のリスクは必然ですが、思わぬ劣化のリスクは交通事故と同じく偶然です。

そう考えると、大事だからこそ、高いお金を払って買った服だからこそ、何度も着るほうが効率的なように思います。

トレンドや自身の変化とのギャップ

洋服のテイストにもよりますが、やはりどんなに丁寧に保管していたとしても、1年後に妙に野暮ったくなっていたり、あるいは自身の心や体の変化とのギャップが生じて、着るのがためらわれてしまうことは否めません。

それらも踏まえると、やはり大事だからしまっておこうというよりも、大事だからこそ今の自分や環境にフィットしているうちにできるだけ楽しもうとする気持ちでいた方が、良いような気がします。

このグラフは、あるファッションアイテムについて、クローゼットで保管した場合は1カ月につき0.5%ずつ劣化し(黒線)、1シーズン(3カ月)着た場合は10%劣化する(赤線)と仮定した場合のグラフと、1年ごとに繰り返し着た場合のトレンド・自身の変化と洋服のテイストとのギャップが10%ずつ増加すると仮定した場合を可視化したモデルです。

全部仮定に基づくので、例外もありますが、たとえ着ていなかったとしても5年も経てば30%程度の劣化があり、それは2年間高頻度で普通に着たとしても大体そのぐらいの劣化だということを示しています。

また、その2年間はまだトレンドや自身とのギャップがまだ10%程度であり、ある意味「旬」の状態ですが、5年後にはギャップが40%まで高まり、状態としては良くても、「旬」は過ぎています。

もちろん、超定番のアイテムを、きちんと保管し、丁寧に着れば結果は全然異なります。

また、この結果をどう考えるかも人それぞれですが、そこまでの高い意識がない私のような人間は、このぐらいの感覚です。

そもそも「よそ行き」とは

小さい頃、「これは「よそ行き」だから大事に着てね」とか言われた記憶があるからかもしれませんが、そもそも、今の私の生活スタイルにおいて、特別「よそ」へ行くことはほとんどありません。

そんな滅多に来ない特別な日のために大好きな洋服をしまっておくというのも、やはり合理的ではないような気がします。

というわけで、私は休日は特に用事がなかったとしても、朝起きたら、まずは自分がその日に着たいと思った服を出して着ることにしています。

「何もしないからこれでいいや」ではなくて、「何もしないけどこれにする」 といった心持ちで服を選びます。

把握しきれる数を適切に管理する

保管して、日常的に目にすることが少なくなると、記憶もあいまいになります。

よっぽど固い意志がなければ、メンテナンスも行き届かなくなり、久しぶりに見ることで細かい劣化がより目立ちます。

今ある服をほぼスタメンにすることで、劣化のリスクは増えますが、その分、洗濯や修繕の機会も増え、満遍なくメンテナンスができます。

また、クローゼット全体をよく見るようになって、あまり着ていない服にも目が届き、それを用いて新しいコーディネートを試してみたり、自分があまり持っていない色、逆に沢山持っている色の意識が高まり、今必要なアイテムについて冷静に考えることができます。

その結果、セールだからといって、ちぐはぐなテイストの洋服を買ってしまったりすることなく、店頭での衝動買いが少なくなるような気がしています。

一度洋服を棚卸してみませんか?

私は、30代前半の頃、仕事の都合で沖縄に引っ越しました。

内地から沖縄への引っ越しは、思ったよりも費用がかかり、私は最安の10Fコンテナ便で引っ越すことにしました。

10Fコンテナというと、高さ2.3m×幅2.3m×長さ3m程度なのですが、そこにすべての家財道具を詰め込う必要があります。

こちらのサイトから写真を引用しています

私は引っ越しの数か月前から、荷物の整理をし始めましたが、すぐに全部は持っていけないことに気づきました。

そして、これまで漫然と持っていた衣服を改めて数えてみたところ、オシャレでも何でもない私でさえ、驚くべきことに250着近くの衣服を持っていたのです。

最初はとにかく段ボールに詰め込んでいたのですが、ものすごい数になってしまったので選別することになりました。

その結果、10代から着ていた洋服の大半は、ほとんど着ていない洋服ばかり。そして冷静に考えるともう着ないだろうなというものも多くありました。

さらに、冒頭で述べたように大事にしていたつもりの一張羅達が思った以上にヨレヨレで、衝撃を受けつつ、かなりの量を処分したのでした。

私は、もし大きな引っ越しをしていなかったら、この事実に今も気づかなかった可能性がありますが、
忙しい毎日、なかなか日々の生活を見直す時間が取れないというのが実情ではないでしょうか?

一度、どこかのタイミングで洋服の棚卸をしてみると、色々メリットがありますので、是非やってみると良いと思います。