ビジネスマンの心身を足取りから測る ORPHE(オルフェ)のスマートビジネスシューズ

装いと科学

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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私はかつてどのパンプスも足に合わず、いつも靴擦れや足の痛みがあったため、出張のたびに憂鬱になっていました。

なんとかインソールや絆創膏などでごまかしつつも、ずっとパンプスはこんなものなのだろうと我慢して歩いていました。

ある時、一緒に大阪出張した男性が、私の酷い靴擦れに見かねて、アシックスに連れて行ってくれました。

アシックスといえばスポーツブランドなので驚いたものですが、同僚の紹介でその時に初めてビジネス用のシューズも取り扱っていることを知りました。

すぐに足の形を測ってもらい、その日に購入したパンプスは今も重宝しています。
(ちなみに、そのとき履いていた靴は持ち歩くのが嫌だったので店頭で処分してもらいました)

そんなアシックスが、足の動きをデータ化するセンシング技術を有するORPHE(オルフェ
と共同し、ビジネス用のスマートシューズを開発したそうです。

どんな仕組みなのでしょうか?

ORPHE(オルフェ)とはどんな会社か?

今回の主役はアシックスよりもORPHEでしょう。Webサイトに行ってみました。

しょっぱなから、

「足元から世界を変える」をミッションに、センサーやコンピューターを内蔵した履物「スマートフットウェア」をはじめとするセンシング&クリエイティブプラットフォームを提供しています。

というテキストが書かれています。

設立は2014年で、株式会社 no new folk studioという社名から、2021年株式会社ORPHEに変更しました。

代表は菊川氏で、大学院で電子楽器のインターフェース研究の過程で、靴のスマート化に着目し、起業しました。

最初の製品はアーティスト向け

最初の製品は、アーティスト向けのORPHE ONEで、indiegogo(クラウドファンディング)を介して販売されました。

モーションセンサーとLEDを使用して新しい表現を可能にするシューズということで、スマートフォンでシューズをつなぎ、パフォーマンスに合わせて光と音を連動できることをアピールした動画が公開されています。

数々のアーティストに使用され、乃木坂46(48じゃないんだ…初めて知りました)の全国ツアーにも採用されたそうです。

アシックスとの共同でアスリート向け製品へ展開

さらに、アシックスと共同で、ランニングシューズとしてのEVORIDE ORPHEを販売しています。

これは、ランニングフォームを計測することで、リアルタイムに音声でのコーチングを受けながら走ることができる画期的なシューズだそうです。

もちろん、蓄積されたデータを詳細に分析することで、走り方の改善や練習の効果などを可視化することも可能です。

このような結果がスマートフォンで見れるようです。これは面白いですね。

アーティスト向けシューズを開発していたORPHEに目を付けたアシックスが、自社の有する技術を融合し、スポーツ科学に応用したと考えられます。

センサーは上の写真右のもので、ORPHE CORE。約20gでシューズのソール部分に挿入するとのことですが、違和感は全くないそうです。

満を持してビジネス向けを開拓

これはRUNWALK ORPHEという製品で、アシックスとの共同開発です。

冒頭で記載したようにアシックスはビジネスシューズも手掛けていますが、まずは9月21日から伊勢丹新宿本店、10月28日からアシックスウォーキングオンラインストアで300足の限定先行予約を受け付け、12月中旬以降に届ける予定だそうです。

歩数や歩行スピード、歩幅、接地角度などと心身の状態とを関連づけしてスコア化し、たとえば、ダイナミックな歩き方をするとマインドスコアが高く、歩行速度が速く、歩幅も大きければフィジカルスコアが高くなるといったような指標がわかるそうです。

ターゲットは先端技術が大好きな30~40代のビジネスマンとのこと。日々のパフォーマンスを整え、高めてもらえらばということですが、どうだろう?

腕にはアップルウォッチ、靴にはORPHE COREを忍ばせた中堅ビジネスマンが今後増えてくるかもしれません。

さらに企業・公的機関向けサブスクシステムに飛躍

余談になってしまいますが、実は本当にすごいのはORPHE ANALYTICSではないかと、私は思います。

Webページのアクセス解析サービスGoogle analyticsもおそらくほとんどの企業が導入していると思われますが、これは全身の動作分析システムで、月額3,3000円のサブスクリプションソリューションです。

導入先としては、京都大学や慶応義塾大学、資生堂なども名を連ねています。

センサーを靴に取り付けスマートフォンで撮影すると、全身のかなりの動作を精細に計測でき、そのデータをCSV形式で出力できるので、互換性の高いデータとして、独自二二次解析が可能になっています。

これはまさに人間工学の分野における新しい分析機器とも呼べるものであり、結構すごいことかなと思います。

靴の可能性

最新情報では、EASYRUN SHIBUYAという製品はNFT付きです。つまりメタバースに履いていけるということで、さらなる可能性にチャレンジしています。

毎日履く靴…靴底の減り具合で歩き方の癖がわかったり、外反母趾の問題、発育との関係など、実は色々な事がわかるツールなのかもしれません。

今回、ビジネス用として心身の状態と関連づけたのは面白い着想だと思います。

サクサク歩いて通勤したにも関わらず、思うような結果が出ずにトボトボ歩いて帰った日。

逆にしんどくてダラダラ通勤した日に、昇進の打診が入って踊るように家路につく日、ビジネスパーソンとしての日々の頑張りがすべて記録として蓄積されていくわけですね…。

なんだか感慨深いものがあります。