年間2億着!循環特化型企業Fiber.DCM

装いと科学

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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リサイクルシステムについての記事を過去に書いたことがありますが、結局のところ一旦消費者の元に渡った商品を確実に回収するシステムを形成しなければ、安定した技術にはなり得ません。

リサイクルシステムに成功している企業はいずれも、自身が商社だったり、メーカーだったりするため、その中でできること、つまり商社の場合は関連するアパレル企業に協力を仰いだり、メーカーの場合は、製造元に協力を仰いだりすることで「原料」であるユーズド品の回収に力を入れてきました。

また、国内各地にリサイクルを生業とする企業は多くありますが、いずれも小規模企業であり、ほとんどは海外も含めた中古衣服としての販売か、ウエスと呼ばれる、油や汚れをふき取るための産業用の雑巾、あるいは内装材や充填剤などに用いるフエルトに加工されています。

monotaro HPより引用 こんな風に販売されています
アスクルHPより引用

そんな中で、このFiber.DCMは上記企業とのタイアップなどで一歩抜きんでた存在になりつつあります。

ファストファッションなど、大量製造・販売で成り立つ産業において、本来はそれに見合った大規模リサイクル企業が誕生しなくては、そもそも本当の意味でのリサイクルシステムは機能しないはずです。

今回は、Fiber.DCMの現状について、調べました。

圧倒的なキャパシティーが強み

大阪府にあるこの企業は、1982年に大阪の原宿(?)とでもいいましょうか、若者の街であるアメリカ村で古着を取り扱う小売業として創業し、1989年には中古衣料、ウエス等の販売を開始しています。

しかし、1999年岸和田市に工場を操業、その後、青山商事と協働し、今や米国とインドにも自社工場を建設し、規模を拡大しています。

最近では阪急うめだ本店の「衣料品アップサイクル」に協力、H&Mジャパンとのパートナーシップ契約、さらにケミカルリサイクルを得意とする帝人フロンティアともタッグを組むそうです。

HPを見る限り、基本的な工程は、一般的な繊維リサイクル企業と変わりはなさそうです。

つまり受入、選別、仕分け、梱包、搬出という流れで、特に選別と仕分けは、人力に寄るところが大きいように思います。

作業工程はこちら

しかし、リサイクル工場としては日本最大の規模であり、搬入から仕分け・梱包・出荷までを一貫体制で効率化させたことで、年間約5万トン(2億着相当)の衣料品が集まる体制を持っています。

また、元々の生業である古着ショップにも力を入れており、「KINJI」(キンジ)というショップを大阪を中心に京都、東京・原宿などに展開し、オンラインストアも運営しています。

なにはともあれ、圧倒的なキャパシティーが強みになっているといえます。

リサイクル拠点および原料供給として「なくてはならない存在」に

海外向けの中古古着(独自の品質基準を示す「スリースター」がついています)

国内だけでなく、東南アジアや欧米、アフリカなどへも販売しており、このことが他の会社との協業体制を促進しているといえます。

今回、帝人フロンティアとの取り組みで、さらに選別力を高め、ポリエステル繊維の原料供給能力を強化することになります

また、ウールは青山商事とともにリサイクルを進めるそうです。

それでもまだ、2割は焼却処分されているとのこと。

ナイロンなどのリサイクルも今後取り組むことで、100%リサイクルを目標とするとのことで、「なくてはならない企業」を目指すそうです。