こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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社会情勢や円安などの影響を受けて、あらゆるモノが値上げに転じています。
先日、ユニクロも2022年秋冬物の主要製品の値上げについて、消費者に詳細な理由を記載した新聞広告を出したばかりですが、
本日、GUは今秋冬物の価格を据え置くという声明を発表したそうです。
いずれもアパレル大手のファーストリテイリング傘下の2大ブランドにおけるこの対応の違いは、どのような戦略に基づいているのでしょうか?
専門家ではないのですが、考えられることを書いてみました。
業績から考える
ファーストリテイリング全体の実績
ファーストリテイリング自体の実績は、売上収益を見ても、第一四半期で約6300億円(前年同期比+1.2%)、第二四半期は1兆2000億円(前年同期比+1.3%)、第三四半期は1兆7600億円(前年同期比+3.9%増)と全体として良いものでした。
また、各種利益も常に前年を上回っており、直近の第三四半期では、税引前利益は過去最高の3500億円で、前年同期と比べて42.2%増になっています。
コロナの影響も受けつつ、これだけの利益を出せるのはすごいですね…。
ユニクロの実績と値上げ戦略
その中で、ユニクロは国内店舗での売上は直近の第三四半期は増収増益であったものの、それまでは常に減収減益でした。
一方、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど海外店舗での売り上げが好調で、これらが相殺し合って、全体として業績はプラスになっています。
ユニクロは世界中に拠点を持つことで、カントリーリスクに対して耐性があるといえます。
海外での売上がこのまま好調であれば値上げの必要がないかもしれませんが、とはいえ来期以降、国内店舗での利益がさらに減ることは避けたいというところでしょうか?
今回の値上げは、先行き不透明の円安事情、紛争による原油価格の高騰などを受けたものではありますが、値上げによる影響は、堅調な販売力やブランド力、また昨今の機能性やデザイン性強化による高付加価値アイテムなどでカバーできると判断して、これを断行したものと思われます。
長く愛される普段着であるために。
— ことばと広告 (@kotobatoad) September 4, 2022
ユニクロ、今朝の新聞広告 pic.twitter.com/Sj5Rks1Ixl
GUの実績と価格据え置き戦略
一方、GUも今期常に減収減益で、ユニクロよりも実績が出ていません。
この状況でさらに価格を据え置きする理由は何でしょうか?
GUは国内の店舗数がユニクロに比べて少なく、ユニクロは国内店舗だけでも800店舗以上あるのに対して、海外含め450店舗ほどしかないのが現状です。
そんな中、ニューヨークに期間限定のポップアップストアを出店するなど、アジア圏以外にも市場を求めています。また、国内店舗もユニクロ並みに増やす予定であり、住宅街のロードサイドと都心ターミナル駅に集中して新店舗を構えるそうです。
ちなみに、2022年秋に開店する予定のポップアップストアを見に行ってみましたが、Google mapにはまだ反映されていませんでした。
つまり、ユニクロを含むほとんどのアパレル製品の値上げに対して購買意欲がシュリンクする層を取り込むために、わざとGUの戦略を市況の逆張りに設定したのではないかと考えます。
また、店舗を増やすことでスケールメリットをさらに効かせ、ニーズの高い商品を集中して大量に作って原価率を下げることができるという勝算があるのではないかとも考えられます。
巧妙な経営戦略
同じ社会情勢において、主力のユニクロの利益を着実に確保しつつ、新しい市場を開拓できるGUの可能性に投資するというようなイメージに見えます。
これは、異なるターゲット層に向けてグローバルに展開しているファーストリテイリングだからこその経営戦略だと思います。
つくづく、アパレル産業のトヨタに匹敵する巨大企業だな..と思いました。