繊維業界のインフラを目指す「swatchbook」

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こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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生地などは見本帳というものがあります。

家を建てた際、ソファーを購入した際など、これまで様々な見本帳を取り寄せました。

実際にどれぐらいの厚みがあって、どんな風合いなのかは、実物を見ることが最も早いのですが、

見本帳は分厚くて重くてかさばっていて、かといって情報量は限られているという欠点がありました。

アメリカのSwatchbook社はこれらの課題に着目し、2017年に設立されました。

繊維素材の3Dデータのプラットフォームを構築することで業界のインフラを目指しています。

今年7月には日本法人が開設されたそうです。

生地を体感し、製品設計に直結させる3Dライブラリー

Swatchbookは、「世界最大」の3D生地ライブラリーで、10万点以上のデジタル生地を集積しており、物性などの詳細なデータだけでなく、風合い、柄などがまるでその場にあるように実感できる様々なツールを提供しています。

また、画面上で色や柄を変えられるデザインツールも提供していて、生地と製品イメージを感覚的に結び付けることが出来ています。

テキスタイルコンバーターという業種と、Swatchbook社との連動のメリット

ここで、初めて知ったのですが、生地を生産するテキスタイルメーカーとそれを使って製品を作るアパレルメーカーとの間にテキスタイルコンバーターという業種があるそうです。

業務内容としては、2つのパターンがあります。

1つ目は、アパレルメーカーの要望を聞き取り、適切な生地を生産してくれるテキスタイルメーカーを探し、交渉して、目的の数量を納品して利益を得ること。

2つ目は、さらに、自らリスクをとってトレンドを先読みして、テキスタイルメーカーから生地を生産してもらい、アパレルメーカーへ売り込んで利益を得ること。

アメリカなどでは、コンバーターが生地生産・加工までを自ら行う業種のことをテキスタイルコンバーター呼ぶそうですが、日本では分業化されています。

今回、このテキスタイルコンバーターであるサンウェルが、アパレルDXの強化として、このSwatchbook社の技術を採用することになったそうです。

つまり、まずはサンウェルが持っている生地データをSwatchbook社のライブラリーに加えることで、広く自社製品を知ってもらうことができ、ユーザーからの依頼や要望をすばやく事業に活かすことができるというメリットがあります。

また、HPを見る限り、やはりこの見本帳は営業の生命線であり、この会社が生産する見本サンプル帳は年間数十万枚にも及ぶそうです。そのため、SDGsなどの観点から、これを回収し、リサイクルする取り組みを進めています。

そんな取り組みとともに、これまで生産していた見本帳がそのままデジタルで再現できれば、かなりの削減効果があると思います。

テキスタイルコンバーターという業種は、Swatchbook社によって駆逐される?

素人なのでこれは極論かもしれませんが、このSwatchbook社のツールを使うと、アパレルメーカー自身が製品から目的の生地の要望をテキスタイルメーカー側へかなり具体的に伝えることができるようになります。

翻訳者としてのテキスタイルコンバーターの立場がかなり弱くなってしまうのではないかと考えてしまいますが、どうなんでしょうか?

実際、上述したようにアメリカなどではテキスタイルメーカー=コンバーターの役割も担っています。

日本の産業構造が大きく変わってしまう可能性も含め、今後に注目したいです。