こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、「あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?詳細はこちらの診断メニューをご覧ください。
またお申込みやご質問はこちらのお問い合わせからどうぞ。
***
ピップという会社の製品である「ピップエレキバン」ってご存じですか?
磁力で肩こりを直すという小さなパッチのことです。
私のような世代は、あのピップの会長と樹木希林さんの面白いCMを思い出します。また、あのCMで磁力の単位が「ガウス」であることを知りました(現在、磁力の単位は「テスラ」になっています)
.
…..若い方はまったくわからないと思いますのでスルーしてください。
(興味のある方は、ピップエレキバン CM などと検索いただくと昔のCMが見れます。思わず全部見てしまいましたが、片岡鶴太郎さんとかも出ていたんですね。)
最近のCMでは伊藤沙莉さんが出ているようです。
(ということはピップエレキバンの存在はある程度若い方にも認知されているのでしょうか?)
会社概要を調べると「シャンプーハット」とか「ダダン」もこの会社の製品だったんですね。
(もうこれらの話題については、ついてこれる人だけ理解いただければ…..(汗))
……ぉおっと 郷愁に浸っている場合ではありませんね!
本題に入りましょう。
ピップ株式会社の主力製品である「ピップエレキバン」50周年企画 コリナイ・プロジェクト
毎回なんだか妙に心に残るCMを出してくるピップ株式会社が、ピップエレキバン50周年記念企画として「コリナイ・プロジェクト」を実施しています。
その一環として、肩コリにやさしいファッションコレクション「コリナイ・コレクション」を実施するため、文化服装学院の学生さんによる<未来の“肩がこらない服”>のデザイン画のコンペティションを行っていたそうです。
全19作品から5作品を選出する一般投票があったそうなのですが、すでに終了し、現在選出された5作品が10月のファッションショーに向けて製作しているところだそうです。
すごく面白いなと思ったので、19作品の傾向を考えてみました。
コリナイ・コレクションのデザイン画を見て
肩がこらない服を肩のこらない世代に作らせるというのが面白いです。
肩を揉んでも単にくすぐったいだけの世代なんぞに、肩こりのつらさがわかるもんか!….というような年寄りのやっかみは置いておいて、みずみずしいアイディア溢れるデザイン画を見てみました。
ちなみに、面白いのでこちらに掲載されているデザイン画を引用させていただきましたが、二次利用などは一切いたしません
理論派
服を軽くする
とにかく軽くして、さらに軽いイメージも重ねるという考え方です。右の「シャボン玉」は最終ノミネートされています。

物理的に肩こりをゼロにする
19作品中3作品が、本当に服自体を何かに吊り上げてしまえという考え方で、このうち2作品(赤枠)が採用されています。まさに直球勝負ですが、それを現実にしてしまっているところが面白いです。

いっそ寝ていたいという気持ちを服に込める
もう今日は休んで1日布団にくるまって寝ていたい気持ちを全肯定した作品、一番モードというか真綿に包まれているかのような究極のスタイルが選ばれました。

人間工学的な視点で真面目に考える
肩の過度な負担は腰が引き受けるべきだとする考え方に基づいた2作品と服に究極の可動性を持たせる1作品。究極の可動性を持たせた作品が最終コレクションに残っていますが、これはピップエレキバンの製品イメージともしっかり合致させているところに戦略性を感じます。

概念派
肩こりを概念としてアピール
2作品は肩こりの原因や肩こりの現状を視覚的に表現しています。
人間関係で気を遣う場面=肩が凝るというところに着目し、先まわりしてそれを回避しようとする作品、肩こり=辛い状況を我慢しなくてもいいのだということをアピールするという考え方がちょっと変わっていて、面白いのですが、最終コレクションには残念ながら残りませんでした。

肩こりのない世界を想像する
魚や水中、しなやかな筋肉を想像してみたり、沢山のクマちゃん、仮想無重力状態が洋服を持ち上げてくれている、というファンタジックな作品が6点。
それぞれ面白いのですが、こちらの最終コレクションには選ばれませんでした。

まとめ
今回のコレクションは、理論派からすべて選抜されています。
投票条件は肩こりがある人なのでそういう意味では概念ではなく、現実的な解決を求めているということでしょうか?
しかし、そのうち服の常識を打ち砕くような「物理的に服を吊りあげる」作品が2つも選ばれていることに驚き、同時に面白さを感じました。
今、ファッションショーに向けて製作をしているそうです。
その過程についてもこちらの記事でみることができます。
皆さん、一生懸命作っていて、なんだか胸が熱くなります。
投票は参加できませんでしたが、今後も動向に注目していこうかと思っています。
どうか、くれぐれも肩の力を抜いて頑張ってほしいです。

その後のコレクションに関する記事:肩こりを知らない世代が考えるコリナイ・コレクションが面白い ~最終発表会~