廃れ行く有松絞り~絞り染めの魅力と新しい視点~

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こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

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絞り染めは布の一部を紐で縛ってその部分に染料がしみ込まないようにすることで、様々な模様を作り出す模様染めのことです。

この手法は、原始的なため紀元前のインドでもすでに行われていたことが遺跡調査などから分かっています。

日本では、特に技法が多く、国際的にも「shibori」と表記されているそうです。へぇ。

もしかしたら小さい頃に簡単な絞り染めをしたことのある方もいるのではないでしょうか?輪ゴムで適当に縛ってから染色液で染めて、それを外すと面白い模様が現れます。

私は名古屋市に住んでいたことがあるのですが、小さい頃は母が絞り染めの糸を外す内職をしていたことがあり、家に沢山糸で縛ったままの布が置いてあったことがありました。

私も巻貝のような角が沢山ついた布を糸切ハサミで布を傷つけないようにしながら、チクチク手伝ったのを記憶しています。

糸を外すと、絞りの模様が見えて面白かったのと、独特の凹凸の手触りが特徴的でした。

今回は、この絞りの技法について少し調べてみました。

日本における絞り染めの歴史と有松絞り

絞り染めが花開いたのは主に江戸時代です。

主に貴族用の「京鹿の子」と庶民用の「地方絞り」に分類され、前者は京都産の絹を用いて「鹿の子絞り」と呼ばれる手法で作られたのに対し、後者は木綿の藍染めです。

二大産地は豊後(大分県)と尾張(愛知県)で、それぞれ豊後絞り、有松・鳴海絞りと呼ばれています。1975年には国の伝統工芸品に指定されたそうです。

浴衣の生地などでも良く使われています。



様々な模様を一つ一つ糸で括って表現するため、「括り染め」とも呼ばれ、手間のかかる手作業で行われるため、現在は衰退しています。

様々な絞り模様

豆絞り、手蜘蛛絞り、三浦絞り、嵐絞り、筋絞り、雪花絞、叢雲絞り、杢目絞り、唐松縫い絞り、折り縫い絞りなどの技法があり、それぞれ面白い模様が出せます。

コンソーシアム有松のHPに詳しく技法などの説明があります。そこから模様の種類だけ引用させていただきました。

新しい「絞り」

また、先日亡くなったイッセイミヤケ氏などのデザイナーのPLEATS PLEASEシリーズや、コシノヒロコ、Mame Kurogouchiも絞り染めの技法を自身のラインナップに採用しています。

今も、名古屋芸術大学テキスタイルコースの学生さんなどは、この技法に興味を持ち、産地内で起業したり産地企業に就業しているそうです。

伝統工芸が好きです

私は各地の伝統工芸が好きで、焼き物や織物、漆器、和紙、木製品、竹製品などを取り扱う老舗などを訪れるのが好きです。

大概、昔からあるオーソドックスな製品とともに必ず、新しい視点で作られた面白い製品もあって、それに惹かれて、思わず買ってしまうことが多いです。

絞りについて、大柄は大胆な印象ですが、江戸小紋に見られるような遠目では無地のように見える模様もあり、その括り方によって全く違う印象のデザインになります。

これらが大量生産ベースで作られることは今後もないと思いますが、完全になくなってしまうのは寂しい。

例えば、伝統工芸を継承する若いアーティストが、これらの技法をどのように発展させていくのか未知数の可能性に期待したいです。