こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、「あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?
詳細はこちらの診断メニューをご覧ください。
またお申込みやご質問はこちらのお問い合わせからどうぞ。
***
服の魅力をアピールするためには、着ている姿を見せるのが最も適切な方法です。
さらに、それを着て歩いたり、回ったりして、さらにイメージを深めることができるのがファッションショーのランウェイでしょう。

洋装の立体的な構造を引き立て、実際の動作でシルエットがどう変わるかを理解することができ、購買欲につながります。
これまでは、それらの役割は「ファッションモデル」という職業の方が担当していました。ご存じのように「ファッションモデル」は服の魅力を最大限に引き立てる(と現代人が考えている)ような外観を有し、適切な所作を身に着けた方が担っています。
以前の記事でもご紹介したように、そのためには日々鍛錬が必要です。
また、ショーを開催する側としても、その服をいかに魅力的に見せることができるか、「ファッションモデル」の選定、ショーや撮影のシチューエーション、セットの考案、撮影人員の手配などなど…..おそらく私たちがモニターで見ている最終作品になるまでに、色々な工程を経ていることが予想されます。
今回AIモデルを使うことで、それらが一気にショートカットできるのです。
少し見てみたいと思います。
AI モデル そのすごい技術
AI model(AI モデル)というのは、データ解析手法のことではなくて、会社名です。
今回、この会社は「モデル撮影サービス」をいうものを開始しました。
AI技術で作ったファッションモデルを使って、ささげと呼ばれる、ECサイトで販売する商品の情報制作業務を一手に引き受けるサービスで、アパレル業界におけるDX(DXに関してはこの記事を参照してみてください)ソリューションサービスです。
ちなみに、このささげ….って何? 豆?捧げ?と思った人もいませんか?(私だけかしら)
これは、撮影(さつえい)採寸(さいすん)原稿(げんこう)の文字を1文字ずつ並べた業界用語らしです。へぇ。

作成工程は、まず商品の画像を撮影し、仮想試着技術で着用画像を作成していくそうです。
これを見ると、違和感がなさすぎて、きっとこの画像がふつうにECサイトに掲載されていてAIモデルだとは気がつかないと思います。サイトを見ているだけでも、面白いので是非ご覧ください。
素人考えで恐縮ですが、AIでモデルの顔を自由に作成するということについては今の技術レベルにおいてそこまで難しそうに思えないのですが、それをお客さんが持ち込んだ服にまるで実物が着ているように撮影するというのがとても興味深いです。
実際の詳細な工程はわからないのですが、一旦お客さんから実際の洋服を送ってもらうんでしょうか?あるいは一定の方法で撮影してもらうんでしょうか?
今後、動画などにも対応できれば、すごいことになりそうですね。
このサイトにもありますが、
「アパレル業界において、モデルの着用イメージは商品購入を左右する重要なポイントであるが、撮影コストが大きい」という課題に対して、
このサービスは以下のような利点があります。
・モデルのキャスティング、ヘアメイクなどが不要
・大量の商品を短時間で撮影可能
・掲載までのリードタイム(かかる時間)が短縮できる
・一回作れば掲載媒体による使用権限の制限がない
気になる価格はというと、
スタジオ撮影 50着 150,000円~
ロケーション撮影 1日 300,000円~
…ちょっと相場がよくわかりませんが、50着を例えば、5人ぐらいのモデルさんを呼んで一日かけて撮影しようとすると、撮影の関係者も含めて動員すると、15万円では到底できないのかもしれません。
また、さらに顔や肌、髪の色、体型においてブランドに最適なオリジナルモデルを作るサービスも別途あるようです。
ギャル系サイトであればギャル系の男女のモデルを作ってもらうこともできるわけです。
さらにさらに、自社ECサイトの顧客の閲覧データから最適なモデルを提案する特許を取得したとのことです。
例の如く、特許を調べてみたのですが、まだ公開されていないのか見つけることができませんでしたが、
おそらくこれまでの自社サイトの閲覧傾向を解析したときに、例えば特定のモデルが着ている服はやけにクリック回数や購入数が多いというようなことがあれば、
あるいは複数モデルにおいて、こんな雰囲気のモデルだと同様に閲覧効果が高いというような傾向が見出されれば、それに最適化した外観を有するAIモデルをいくつか提案できる可能性があるということなのではないでしょうか?
もう、こうなったら、理想のモデルを街頭で探してスカウトすることは必要なくなりますよね…。
AIモデルで変わる価値観、新たな価値の創造
AIモデルサービスが一般化したら、彼のようなモデルを目指す方は今後どうすればいいでしょうか?
もう外観上の完璧は、AIモデルが提供してしまっています。
わざわざ撮影現場への出張費を支払ってでも呼びたいと思わせるモデルにならなければなりません。
あるいはAIでは到底表現することのできないユニークな外観を持っていることも強みになるかもしれません。
また、モデルという職業の概念が変わり、ファッションショーのように生身の人間が実際に着て、それを体感することの価値がもっと高まる可能性が出てきます。
ファッションモデルに限らず、AIによって今ある職業のほとんどが奪われる可能性が近年危惧されています。
私もこの危惧に対する一定の意見には賛成です。
今回のケースも今からモデルを目指す人にとっては、AIモデルの登場は、驚異かもしれません。
しかし、その一方で、生身の人間ができることの価値を高めることにシフトするための良い機会なのではないかとポジティブにも考えています。