リサイクルの矛盾~プラスチックと地球環境~

プラスチック

こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、
あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?

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これについては、本当はずっと最適解を探しています。

というのも、我々が石油から作り出してしまった様々な物質はプラスチックだけではないからです。目に見えるレジ袋とかストローとかそういうものばかりに気を取られていますが、プラスチックの一歩手前にあるような高分子物質というのは、食品、洗剤、化粧品なども含めてありとあらゆるものに配合されています。

実はこれらのものが環境中に蓄積している可能性の方がはるかに大きく、さらに分子が小さいだけに色々な所に侵入、吸収されやすく、環境への影響がより大きいと考えられます。

そのため、マイクロプラスチックやレジ袋廃止の問題などもそうなのですが、火元を見ずに、四方八方に飛び散る火の粉を見つけては騒ぎたてているような印象が強いです。

騒ぐだけならいいのですが、これらの影響などについて詳細に調べるための研究費に貴重な税金が使われていることがややもったいないような気がします。
(研究もファッションと同様、実は流行り廃りがあります…)

「マイクロ」サイズのプラスチックという中途半端なサイズの粒子の影響をコツコツと調べるよりも、大きかろうが、小さかろうが、人間が作った異物に関しては生態系に何らかの良くない影響は与えてしまうと考えてよいと思います。

だからこそ、我々が作り出してしまった物質をどう取り扱っていくべきなのかをシステマティックに考える必要があるのではないかと考えます。

そういう意味で、今回の取り組みは良いケーススタディーだと思いました。

ちょっとひねくれた考え方なので、リサイクルに関心がある方にとっては、もしかするととんでもないことを言っているとお怒りになるかもしれませんが、ポリマーについて研究してきた私の正直な思いを綴ります。

ポリエステルを土として再利用する取り組みについて思うこと

スタイレム瀧定大阪のHPを見ると、サスティナビリティに関する取り組みとして原料や加工技術、IT技術などの多様な分野においてチャレンジングな取り組みがされていて、とてもすばらしい会社だと思っています。

今回の「ポリエステル素材を店頭で回収し “土”として再利用する」という取り組みについてもそれらの一環です。

同社 プラスグリーンプロジェクトのサイトより引用


緑は楽しみたいけれど、重い土をマンションまで運び入れるのは嫌だし、手を汚して土いじりをする気にもなれないという方にとって、ちょっと観葉植物として育てるための趣味的な製品…なんとなく環境に良いことをした気分に浸れるということでは、良いのかもしれません。

ゆりかごから墓場まで~完全に分解させるところまでを考えた製品づくりが今後は要求される?

なぜこんなにひねくれたことを言っているのかというと、人工土壌については、沢山の製品がすでに流通しています。

ますます集約化され、生育環境の精密コントロールが進むと考えられる農業において、土壌という存在は実は混沌としていてやっかいな培地だともいえるので、単一の成分から成る人工土壌はフィットしやすいと思います。

また、今や廃棄される洋服は膨大にあり、これまで私が記事にしてきたような取り組みは、実はその排出量に対して微々たる対策でしかないのに対して、このように土壌の代わりとして使ったり、例えば構造物材料の代わりとして使ったりすることで、廃棄物の利用効率は一気に向上します。

しかし、このような使い方をプラスチックで行うと、まさに環境中において解放状態で長期間大量に使われることになり、冒頭で述べたような「マイクロプラスチック」問題とは比べ物にならないほど大規模に、環境中に拡散してしまうリスクが高まります。

「マイクロプラスチック」の有害性について細かく調べて必要以上に恐れたり、増え続けるゴミを何かに変えてとりあえずホッとするのではなく、プラスチック(とその他石油由来製品)の生産から廃棄まで、すべてに責任を負うためにはどうするかを今後考えていかなくてはならないのです。

リサイクルに対する意識の高まりによって、様々な製品や技術、サービスが今後もどんどん増えると思います。

しかし、資本主義においては、それで利益を得たいために、あまりロジカルでないものも沢山出てくる可能性もやはりあります。

だからといってプラスチック反対!などという原理主義になる必要はありません。というか、プラスチックの恩恵からは誰も逃れられません。

一番理解しているはずの開発側は表面的なキャッチフレーズを安易に作らないこと。また消費者はそれらに踊らされず、冷静に判断することができれば良いと思います。

しかし、これは正論でしかありません。うまく付き合いつつ、良い方法を常に考えていくことになるでしょう。

難しい問題が故に、今後それらのリテラシー教育と技術革新が必要なのではないかと思います。