あの人から買いたい ~「WEAR」のソーシャルコマース機能について~

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こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
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ソーシャルコマースというのはソーシャルメディアの利用者同士がプラットフォームの中で商品を売買する販促・販売することを指します。

今回ZOZOが運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR」に新たにソーシャルコマース機能が付与されたことを受け、今後のビジネスがどのように変わっていくか考えたいと思います。

「WEAR」のソーシャルコマース機能は「メルカリ」と同じC to Cタイプの二次流通システム

二次流通というのは、一度販売された製品を再び販売する流通経路ですが、ZOZOはすでにZOZOUSEDという二次流通システムを確立しており、これはZOZOが消費者から買い取り、それを再び消費者に販売するB to Cシステムです。

一方、今回新たに「WEAR」に導入した仕組みは、同じ二次流通でも、WEARの利用者が同じ利用者に向けて販売するC to Cシステムです。

「メルカリ」に似ています。

環境省では平成12年に循環型社会形成推進基本法を定めており、その7条(循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則)では、

一 循環資源の全部又は一部のうち、再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない。(リユースのことですね)
二 循環資源の全部又は一部のうち、前号の規定による再使用がされないものであって再生利用をすることができるものについては、再生利用がされなければならない。(リサイクルのことですね)
三 循環資源の全部又は一部のうち、第一号の規定による再使用及び前号の規定による再生利用がされないものであって熱回収をすることができるものについては、熱回収がされなければならない。(サーマルリサイクルのことでしょうか)
四 循環資源の全部又は一部のうち、前三号の規定による循環的な利用が行われないものについては、処分されなければならない。(リデュースのことかな)

とあり、あらゆる資源を、再使用→再生利用→熱回収→処分 という流れでできるだけ循環活用させることを定めています。

つまり、本来はリユースがリサイクルよりも上位に位置付けられていて、積極的にリユースした方が良いのですね…。

また、環境省が行った平成30年度「リユース市場規模調査報告書」を見ると、すべてのリユース市場は約 3 兆 2 000億円で、その中で最も大きな割合を占めるのが自動車とバイクで、自動車が全体の56.7%(1兆8000 億円)、バイク、原付バイクが(6.7%、2,168 億円)と2兆前後を占めています。

これを覗いた1兆2000億円程度の市場において、ブランド品が(19.3%、2,301 億円)、「ブランド品を除く衣類・服飾品」(8.4%、1,002 億円)を占め、それらの44%はインターネットオークション、26%は中古品販売店、20%はインターネットショッピングサイトになっています。

平成30年度「リユース市場規模調査報告書」より引用

ということは現在私たちが普段着ている洋服をインターネットでリユースする市場は200億円程度であることが推測され、おそらくこれは今後もっと拡大することが予想されます。

そういう観点からZOZOは方向性としては正しいのかもしれませんが、「メルカリ」とどう違うのでしょうか?

アパレル特化と双方向コニュニケーションで「メルカリ」と差別化

「メルカリ」は洋服に限らずあらゆるモノに対するC to Cシステムを提供するプラットフォームであるのに対し、「WEAR」は洋服(服飾品)に特化したC to Cシステムです。

「メルカリ」は匿名性が高く、誰もが誰にでも販売することができるということが強みでもありましたが、「WEAR」では逆に商品の背景に実際に着ていた人の趣味とか思いなどがダイレクトに反映されます。

「メルカリ」は出品された商品のサイズ感や着心地などが分かり辛かったのに対して、「WEAR」は既存の膨大なコーディネートデータや口コミがそのまま強力な販促ツールとして機能するため、ユーザーにとっては信頼性の高い情報をもとに購入を検討できるため、強固な購買意欲につながるのではないかと感じます。

「WEAR」は、コーディネートを通して構築されたコミュニティーにおいて、緊密なコミュニケーションの場が広がります。

以前は、Instagramerが商品タグを使ってECサイトへ誘導するという流れであったのが、Instagramer自身が着ている服を直接販売するという流れに変わり、より「この人が来ているこの服が欲しい」というような双方向での意識付けが強まることが予想されます(実際にコーディネート投稿に対して、WANT機能<「この服が欲しい」と伝えられる機能>があるそうです)

「お下がり」という概念の復活

極端なことを言って恐縮ですが、私は親戚のお姉さんから、近所のお姉さんからよく「お下がり」をもらっていました。

信頼できる人から譲り受けて、次の人がまた大事に着るというのは、感慨深いことです。

ネットの匿名性をあえて打破し、あえて「その人から買う」というリユースシステムがうまく回っていくかどうか、今後に注目したいところです。