おしゃれに向き合う人達 part① ~3Dモデリストとは~

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こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。

ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、
あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?

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この特集、面白いなと思ってみていました。

早い段階で専門学校へ行くというのは、将来の道筋を自分で早く決めたということで、高校・大学と専門をできるかぎり先延ばしにしてきたモラトリアム人間の私にとって、すごく決断力のある尊い行為だと思います。

私も大学の4年生になって教授の下について研究を始めてから、ようやく寝食を忘れて研究や勉強に没頭する環境に身を置きました。

そうなると、その分野において視点は常に世界を意識することになり、海外の最新文献を取り寄せたり、自らの研究を論文という形にまとめて発信することになり、やっていることへの意識や向き合い方が大きく異なってくるのを感じました。

多分、これは、成人して社会活動の一部となる人間であれば、どんな仕事をしていたとしても、また仕事に限らず子育てをしていたとしても、誰しも多かれ少なかれ自分事として真剣に向き合うことになるのだと思っています。

今回は服飾専門学校でおしゃれを勉強している学生さんのインタビューから、例のごとく、専門に勉強されていることで私自身不勉強につき、分からないことを調べた上で思ったことを書いています。

また、学生さんの想いとして心に残った言葉も引用させていただきました。

ファッション・クリエイター学科3Dモデリストコースの学生さんの例

元記事はこちらです。

その方はスタイリストに興味があり、最初はスタイリスト学科で入学したそうです。
しかし先輩の作品を近くで見るうちに、「自分で服を作りたい」という思いが強くなり、翌年にファッション・クリエイター学科に入り直し、服作りを学んだそうです。

その後、2年次では将来理想とするワークスタイルとイメージが近い「3Dモデリスト」コースを専門にしたそうです。

3Dモデリストについて調べてみました。

3Dモデリストに俺はなる

3Dモデリストというのは、3Dモデリング技術で仮想の3D空間で服を造形するクリエイターのことらしいのですが、3Dモデリングにはおそらくファッション用に最適化された3DCADを使うのだと思われます。

また、一般社団法人ファッションデザインエンジニアリング協会というものがあるので覗いてみました。

ここでは、現代のアパレル産業の大量生産システムの限界(環境に与える負荷も産業構造そのものも臨界点に達しているとしています)を見据え、存続するためには「第四次産業革命」を実現する必要としています。

そしてその「第四次産業革命」のキー技術とされるのが「3Dモデリング」技術として、ファッション3Dモデリスト検定(3級~1級)というものも実施しています。

一般社団法人ファッションエンジニアリング協会HPより引用

この学生さんはすでに3級を取得されています。

ちなみに3級は
・2DCADデータを使うことができる。
・アバター、生地素材などを使って、ファッションアイテムの簡単な3DCG作成ができる。
・PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックデータを取り込んで3DCGに配置できる。
・ボトム、軽衣料のセットアップで3DCG作成ができる。
・レンダリングができて3DCGデータの書き出しができる(イラストや文章、プログラム言語で書かれた求めるデザインの方向性などから、3Dモデルを作成すること?)。

ということで、すでに3Dソフトでユーザーの要望に応えた3Dデザインができるところまで技術を習得されているということで、すごいですね…。

具体的にどのように社会に貢献していくのか

この専門学校では、東京ファッションテクノロジーラボ、アーバンリサーチ、ヤギと4者共同で取り組む「3Dモデリングを活用した商品企画からの商品化」プロジェクトというものがあり、この方も参加、実際に課題で出された作品を販売するという経験を積んでいます。

さらにギャラリーで、自身のブランドの個展を開催したりと、すごいバイタリティー!

すでに、第一志望の株式会社FMB(Fashion Metadata Bank)に内定をもらっているとのことです。

この会社を調べると、アパレルDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションサービスを提供しているとのこと。

そういえば最近DXという言葉があふれていますが、もともとは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、現在の我が国としては経済産業省によって以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

話を元に戻すと、FMBは、今のファッション産業の構造が、情報が一方通行で共有されていないため、消費者、生産者とも機会損失、資源ロスをしていると考えていて、アパレル業界が中心となって消費者、商社、生産者、運送業者とのビッグデータ連携を図ることで、ファッション産業構造の革命を図りたいと考えているようです。

ここでも以前話題に取り上げた「メタバース」をブランディングやプロモーションの新たな舞台として設定しています。

おそらく、デザインというものが、これまでは一部のデザイナーによるトップダウン方式というか、語弊を恐れずに言ってしまうと、「今の時代はこれやで!どや!」といってデザインしたものが、消費者まで流れてくるという図式であったのを、

DX技術を用いていることで、ボトムアップ方式というか、関係者から上がってきたデータをもとに、綿密な戦略を立て、「これらのデータをもとにすると、この世代にはこれが最もふさわしいので、このぐらいの量を作って販売しませんか?」という合意を得てデザインされたものがその世代に確実に届けられる、という世界を目指しているのではないかと思います。

ファッションだけではない大きな世界に関わる新しい人材になる可能性大

最後に、「もっと技術を身に着け、3Dモデリストだからこそ提案できる服を手掛けたい」と、若者らしい表現で将来の目標が記載されていました。

きっと専門学校で得られた知識と技術を生かし、今まさに変わろうとしているファッション産業構造の中でさらに磨かれていくのではないかと思いました。

今回の記事では作り手について書きましたが、次回:オシャレに向き合う人達 part②では纏う人について書いています