こんにちは! 理系スタイリストのNAGです。
ファッションの正解は人それぞれ。
でもそれは科学(客観的データ)×心理(個人的嗜好性)で説明できます。
是非、私と一緒に、「あなたが本当に着ていて自信の持てるコーディネート」を探してみませんか?
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総務省の統計局HPに行くと、家計調査の統計データが掲載されています。
家計調査のデータをもとに、共働き世帯における婦人用衣料品支出額の変遷を、今から20年前である2002年からたどることで、色々振り返ってみました。
2002年はどんな年だったか覚えていますか?
20年前….私はまだ大学で働いていましたが、すでに結婚はしていたので共働き世帯でした。
Wikipediaで確認し、個人的に覚えていることだけピックアップすると、
バブル崩壊後、2002年から「緩やかな景気回復」を迎えているとしながらも、実感のある恩恵を受けることなく、だらだらとデフレ経済の中でくすぶっていたように思います。
内閣総理大臣は自民党の小泉純一郎で、骨太の方針を進めていました。
そんな中、質量分析の新手法開発で島津製作所の田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞し、
岐阜県神岡鉱山の地下に作ったカミオカンデでニュートリノの観測に成功した小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞し、日本もまだまだやれるなと感じた年でした。
多摩川には突然アゴヒゲアザラシ(タマちゃん)が現れ、
金融業者のコマーシャルには涙目のチワワ(くぅ〜ちゃん)が一躍有名になりました。
…思わず、懐かしすぎて論点が大きくずれてしまいましたが、
ファッションではレイヤードスタイル、ソフトモヒカン、ニット帽が流行していたそうです。
(お恥ずかしながら、ファッションに関してはあまり実感がありません…)
一か月のレディース服飾支出額は20年間で徐々に減っていた

家計調査のデータベースには、消費世帯の形態(2人以上の世帯、単身世帯など..)によって、生活に関わる様々な支出動向のデータが公表されています。
衣料品についても、女性用、男性用、子供用など小分類に分けて解析することができます。
婦人用の洋服、シャツ・セーター類、下着類についてそれぞれ一か月間の支出額の変遷を2002年から2021年までグラフ化してみました。
これを見ると、この20年間で服の購入額は20~30%の減少傾向にありました。
特に2019年以降はコロナウィルルの感染拡大による影響が大きく、下着類以外は、2019年からの急激な減少を示しています。
コロナ以前の緩やかな減少は、何が原因でしょうか?
その他のデータとともに解釈すると、以下の要因が考えられています。
- 将来への不安感、雇用環境悪化などによる節約志向で、衣料品の購入意欲減少
- 衣料品の低価格化
- カジュアル志向の高まり
衣料品の購入意欲減少….確かに、この数年間、イマイチ景気が回復したという実感はありません。
給与は伸び悩み、年金問題などが大きく取りざたされました。
バブル期のように好景気に伴いDCブランドで身を固めて豪勢なデートをセッティングして婚活に勤しむ…という時代は過ぎ去っていたので、意欲減少というのも納得がいきます。
衣料品の低価格化という点では、2000年の少し前から、ユニクロのフリースが大流行し、しまむらも2002年には沖縄を含む全都道府県に店舗を展開しました。
GAP ZARA、H&Mなどのファストファッションと呼ばれる格安の海外ブランドも台頭してきた時期で、衣料品一枚当たりの単価が低くなったというのは私も実感としてあります。
カジュアル志向については、これらのブランドが総じてカジュアルアイテムを販売していること。
また社会的にもクールビズが推奨されたり、IT 企業のビジネスカジュアルが一般企業の服装規定などにも影響してカジュアル化が定着してきたことが挙げられています。
衣料品の需要と供給のちぐはぐなバランス
情勢不安や資源枯渇などにより、原料や輸送コストは今後も当面下がることはないでしょう。
支出金額は減っているのに、衣料品の供給量は右肩上がりで上昇し、2020年は約36億枚でした。
日本国民1人当たり毎年30着の衣料品が新たに供給されるというのは、明らかに過剰だと思いませんか?
現在のように大量に廃棄されることを見越して製造するやり方は、すべてにおいてバランスが悪く、非効率的です。
大量製造で莫大な利益を上げているファストファッションブランドも、いわば罪滅ぼしのように熱心なSDGs活動に取り組んでいるのかもしれません。
トレンドを踏まえたアイテムが安く手に入るのは、とてもありがたいことです。
それがあるから、誰でも気軽におしゃれを楽しむことができます。
しかし、安いからまあいいかという気持ちで買ったけれど、似合わないからといって着なかったり、すぐに廃棄するのでは本末転倒です。
自戒をこめて、私自身も上手にお買い物をして、無駄な買い物を減らしたいなと思いました。